2010-05-01から1ヶ月間の記事一覧

『宗教で読む戦国時代』

いつの世も人心に不安は尽きない。経済が混迷を極め、世界各地でテロが頻発する現代もそうだが、今からおよそ500年前の戦国時代、謀反、裏切り、飢饉に一揆、明日をも知れぬ生活の中で人々の不安はさぞかし大きかったことだろう。著者の神田千里は日本中世史…

『チャイナタウン』

1930年代のロサンゼルスが舞台。私立探偵のジェイク(ジャック・ニコルソン)が、モーレイ夫人と名乗る女から夫の素行調査を依頼されるところからドラマは始まる。経験豊富なジェイクは難なくモーレイ氏の浮気現場を写真に収め、一軒落着と思われたのだが、…

『アラバマ物語』

オープニングの映像がとても美しく、思わず引き込まれた。子供の手が木箱のふたを開ける。宝箱なのだろう、中には古いコインやビー玉にクレヨン、木彫りの人形や止まった懐中時計が見える。子供の手がクレヨンを取り出し、ノートの紙に鳥の絵を描く。クレヨ…

『ヘンリー四世 第二部』

シェイクスピア第2四部作の3作目。物語は『ヘンリー四世 第一部』の最期、シュールーズベリーの戦いで国王軍が勝利した直後から始まる。残存する謀反勢力の掃討、王ヘンリー四世の最期、そしてヘンリー五世の即位までを描く。 第一部同様、第二部でもフォー…

『ヘンリー四世 第一部』

シェイクスピア第2四部作の2作目。『リチャード二世』でリチャード王に替わり王位についたヘンリー四世の治世、一部の重鎮(ウスター伯トマス・パーシー、ノーサンバランド伯ヘンリー・パーシー、その息子ホット・スパー等)が王に反旗を翻す。シュールーズ…

電子辞書とウォークマン

高校3年生の息子が電子辞書を買って欲しいという。電気屋の店頭の一角を占める、液晶画面と小さなキーボードのついたアレだ。何でもクラスで紙の辞書を使っているのは3人だけだというからすごい普及率だ。受験勉強の友に一丁買ってやるかと重い腰を上げた・・・…

『衆愚の時代』

「そりゃ違うだろう」と思ってもそう言うことのできない現代日本。著者の楡周平は1957年生まれの作家。「世間の糾弾を浴びることを覚悟で」率直な意見を書き綴ったという一冊。 本書の前半では派遣切りやひきこもり、就職難などを切り口にマスコミ、特にテレ…

『THE GAME』 (QUEEN)

1980年に発表されたQUEEN8枚目のオリジナルアルバム『THE GAME』。銀色のジャケットには革ジャン姿の4人が並ぶ。フレディーが髪を短くし、ヒゲをはやしたのはこの頃からで、「初めてシンセサイザーを使ったアルバム」と銘打ち、それまでのQUEENサウンドか…

『ドゥ・ザ・ライト・シング』

スパイク・リー監督1989年の作品。多くの人種が入り交じり暮らすブルックリンの下町。主人公の黒人青年ムーキー(スパイク・リー)は仕事が長続きせず、妹からもプエリトリカンの彼女からも悪態をつかれる毎日。彼が今、配達員をしているピザショップの主人サ…

『花窗玻璃〜シャガールの黙示』

フランス北部の都市ランス。この街には13世紀に作られたという、大聖堂がある。歴代フランス王の戴冠式が行われた歴史的な大聖堂の祭壇の真後ろにあるのが20世紀の巨匠、M.シャガールによるステンドグラスだ。ガイドブックには必ず紹介され、観光客が後を絶…

『俺たちに明日はない』

「ちょいと、それママの車よ!」車を盗もうとするクライド(ウォーレン・ビーティー)に2階の窓からボニー(フェイ・ダナウェイ)が声をかけるところからこの映画は始まる。甘いマスクのクライドは強盗をして刑務所にいたと語る、しかしボニーはそれを嘘だと…

『17歳のための世界と日本の見方』

編集工学の松岡正剛が帝塚山学院大学人間文化学部で一年生向けに行った「人間と文化」という講義を本にしたもの。全部で5講、大学生になったばかりの若者に優しい口調で文化、物語、宗教、日本などについて語っている。 文化論、宗教論ならいろいろあるが、…

『マルタの鷹』

タイトルの「マルタの鷹」とは16世紀にマルタ島を譲り受けた騎士セント・ジョンがスペイン王に贈った宝石をちりばめた黄金の鷹の像のこと。この鷹の像を探す男達と女の物語。主役の私立探偵スペードを演じるのはMr.ハードボイルド、ハンフリー・ボガート、『…

『夏への扉』

どこかの書評を読んで購入したが、数ヶ月の間積んだままだった。連休というのは、積まれた本の山を小さくするのにちょうど良い。著者のロバート・A・ハインラインはアメリカSF界の巨匠で1907年生まれ、『夏への扉』は1957年の作品だ。 主人公のダニエルは技…

『80日間世界一周』

『月世界旅行』、『海底二万マイル』、『十五少年漂流記』、などを残したSFの父ことジュール・ヴェルヌによる1872年の小説を、1956年に映画化した作品。監督はマイケル・アンダーソン、主役のフォッグをデヴィッド・ニーヴン、召使のパスパルトゥーをカンテ…

無人島に住みたい

昔東京に住んでいたことがある。都会の良いところはあらゆる文化があること。音楽、演劇、映画に絵画。どれをとっても幅広く数が多い。マーケットの大きさを目の当たりにした。住んでいたのは新宿区だが、大通りから一本中に入るとひっそりと住宅が連なって…

『宇宙から恐怖がやってくる!』

普通なら決して知ることのできないことを、本は教えてくれる。中には教えてくれたついでに、読者の恐怖や危機感をあおる本もある。『実は・・・なのです!あなたどうしますか?』「え!本当?どうしよう」。『実は・・・なのです!あなたこのままで良いのですか?…

『リチャード二世』

シェイクスピアの戯曲『リチャード二世』を読んだ。物語の舞台は14世紀後半のイングランド、シェイクスピアの時代からさらに200年程昔の話だ。この物語の中でリチャード二世は浅はかで冷淡、重税を課すため民衆に評判の良くない王として描かれている。そのリ…