無人島に住みたい

 昔東京に住んでいたことがある。都会の良いところはあらゆる文化があること。音楽、演劇、映画に絵画。どれをとっても幅広く数が多い。マーケットの大きさを目の当たりにした。住んでいたのは新宿区だが、大通りから一本中に入るとひっそりと住宅が連なっていた。借りていた2階の部屋の窓からみえる白木蓮の花が綺麗だった。驚いたのは東京に緑が多いこと。皇居や神宮の森は言うまでも無く、公園、街路樹、植え込み、盆栽など、どれも人工的に植えられているが、シッカリ根付いて生きている。メインテナンスは大変だろうけど、やはり身近に緑があるのは良いことだ。それにしても東京は人の数が多い。最近出張で東京に出張すると、人が多すぎて疲れる。電車に乗っている老若男女の顔をみても、心なしか疲れ気味のように見えて気の毒に思えてしまう。

 今住んでいるのは中途半端な田舎町。最寄の駅は無人駅で、駅前にはコンビニがあるにはあるが24時間営業ではない。街道沿いにはファミレスやCDレンタルショップもあるが、その裏には田んぼが広がっている。遠くに山が見えるが、街路樹が殆ど無いため、緑豊かな印象ではない。恐らくわざわざ街路樹を植える必要性を感じないのだろう。通勤時間も耐えられない程ではなく、特に不便を感じること無く15年住んでいる。

 昔から本当の田舎暮らしへの憧れがある。人里離れた山間の村や無人島など最高だ。当然通勤なんてのは無理。社会から隔絶され、不便であることこの上ない。おいしい物は食べられないだろうし、病気や怪我はそれこそ命取りになるかも知れないが、なぁに、世界にはそういう暮らしをしている人はいくらでもいる。日本でだって100年前なら皆そうだったのだろう。そんな所で心静かに晴耕雨読の自給自足生活が営めたらなぁと妄想するわけだ。