『チャイナタウン』


 1930年代のロサンゼルスが舞台。私立探偵のジェイク(ジャック・ニコルソン)が、モーレイ夫人と名乗る女から夫の素行調査を依頼されるところからドラマは始まる。経験豊富なジェイクは難なくモーレイ氏の浮気現場を写真に収め、一軒落着と思われたのだが、事態は思わぬ展開を見せる。ジェイクの撮った写真がナゼか新聞にデカデカと掲載され、その直後にモーレイ氏は事故死。ジェイクの元にはモーレイ夫人(フェイ・ダナウェイ)がジェイクを名誉毀損で訴えると言って乗り込んでくる。ところが彼女は先に調査を依頼した夫人とは全くの別人で、どうやら後者が本物のよう。なら前者は誰??そして事故死したモーレイ氏はダム技師で、現在検討中の大規模ダム建設に反対の立場。どうやら背景には複雑な事情がありそうだ・・・。

 若き日のジャック・ニコルソンが演じる探偵はどこか情けない。明晰な頭脳で鮮やかに謎を解くわけではないし、派手なアクションで悪者を蹴散らすわけでもない。それどころか、調査中にチンピラにナイフで鼻を切られ、以降鼻にガーゼをあてがった姿で奮闘する。そんな所、現実的で親近感がわく。一方、モーレイ夫人のフェイ・ダナウェイは登場した瞬間「あーこの人絶対何か隠してる!」と思わせる、謎の魅力を振りまく。そんな二人に魅せられて、ドップリと映画の世界に浸れた。こういう映画も悪くないぞ。

チャイナタウン [DVD]

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