ハルビン散策

 


 2年前から取引の始まったお客さん、コロナの影響で遅くなってしまったが、やっと訪問することができた。中国の最も北にある黒龍江省省都ハルビン(哈尔滨)市までは上海から国内線で3時間、1日目に商談を行い、翌日は先方のご好意で市内を案内してもらった。19世紀末、シベリア鉄道につながる東清鉄道建設のため発展したハルビンには、今もロシア風の建物が残る。その代表と言えるのが、聖ソフィア大聖堂(圣索菲亚大教堂)だ。

 

 帝政ロシアの従軍教会だった聖ソフィア教会が、1923年に現在の位置に再建され、1932年11月に完成したそうだ。高さ53.35m、赤レンガの外壁にビザンチン様式の玉ねぎドームが印象的だ。


 中には、高いドーム天井から吊り下げられたシャンデリアが4つ。壁には幾つもの絵画が飾られている。内装は昔のまま手を加えていないようだ。壁の漆喰があちこちで剥がれ落ちていて、歴史を感じさせる。以前祭壇があったであろう場所に十字架は無く、代わりにグランドピアノが一台鎮座していた。2020年からこの建物はコンサートホール(索菲亚音乐厅)として、活躍しているらしい。今はもう祈りの場で無くなった聖堂だが、市民の憩いの場として、観光資源として活躍している。

 

 聖ソフィア大聖堂から少し離れたところにある中央大街步行街は、当時の面影を残す町並みだ。100年前に敷かれた石畳の道と街路樹が美しい。この日案内してくれた取引先の扬さんによると、この敷石一つひとつに、当時のお金で1ドルかかったのだそうだ。

 

 道の両側には、当時から残るロシア風の建築が並ぶ。レストラン、デパート、土産物屋、パンや飲み物を売る小さな店などが軒を連ね、大勢の市民や観光客が休日を楽しんでいた。扬さんに「上海の南京路歩行街のようでしょう」と言われて周りを見回すと、南京路と比べて、道行く人の平均年齢がとても若いことに気が付いた。南京路にはオールド上海を楽しむお爺ちゃんお婆ちゃんが多いのと対照的だ。成る程、デートスポットとして比べると、石畳とその両側にきれいな並木道が続く中央大街は、南京路より格段上だ。

 

 人気の棒付きアイスを食べ歩き、地元老舗のレストランで美味しいハルビン料理をいただいた。案内してくれた扬さんは、ご両親の代でハルビンに移り住み30年以上。お話の端々に地元愛を感じた。休日にも関わらず、1日付き合ってくれて感謝!!