2ヶ月ぶりのシャバの風~上海ロックダウン

上海ロックダウン


 今日の上海はよく晴れて最高気温は27度。日差しが眩しく気持ちの良い日曜日の午前中、2ヶ月ぶりに外に出た。

 

 2020年の武漢から2年、徹底した水際対策でコロナを封じ込めてきた上海市だが、奥密克戎(オミクロン)にやられた。人口2500万の巨大都市をまさかのロックダウンだ。

 3月末から2段階で市を封鎖し、PCR検査をしまくったが、まさかこんなに長引くとは誰も思っていなかっただろう。

 自分の住む団地は全市封鎖より半月前の3月半ばに突然封鎖された。その頃市内感染が増えていてイヤな予感がしたので、食料の買い置きを増やし、仕事用のPCを持ち帰っていたのは不幸中の幸い。自分の危機察知能力を褒めてあげたい。

 それから2ヶ月の間にPCR検査を32回、抗原検査を38回受けた。最初はドキドキしたけれど、いつしか日課になっていた。団地内の散歩も禁止されてからは、PCR検査の行列に並ぶのは唯一の屋外タイムで待ち遠しかった。 陽性者が出ると翌日の市の広報で住所が発表されるので、毎朝確認するのが日課になった。自分の住む団地はまぁまぁ大きく4-5000人は居ると思うのだが、陽性者が有ったのは21日、やはり嫌なものだ。

 

 1ヶ月程たった4月中旬、さすがに気持ちが沈んできた。大量に購入した冷凍餃子と缶ビールが底をついた頃だ。 当初は封鎖が解除されたらあそこに行こう、これを食べよう!といろいろ妄想したのだが、そういう気にさえなれなくなってきた。在宅で仕事は継続していたので、平日は気が紛れるのだが、週末になると部屋で一人現実に直面せざるを得ない。

 そういえばお米も残り少ない。洗濯用洗剤と歯磨きは一度に使う量を減らさなきゃ・・・。物資が乏しくなるにつれ、気持ちもしぼんでいく。我ながら単純なものだ。

 

 そんな頃、上海市から届く配給物資は嬉しかった。野菜が多いのだが、肉や魚、洗剤と歯磨きも届いた。自分のような外人にも配給されるのか少々不安だったが、ちゃんと頂けて、本当に有り難かった。

 ほぼ止まっていた物資の配送も徐々に改善され、団地単位でまとめて注文する団体購入も機能し始めた。5月に入り、近所のコンビニからの配達が届くようになると、気持ちはずっと楽になった。

 

 昨日の午後、団地のSNSグループで通知があり「居民臨時出入証」なるカードをもらった。1家族につき1名が3日に1度、1回4時間限定で団地から外に出られる。昨日の晩は少しウキウキ、こんな気分は久しぶりだ。

 そして今日の9時過ぎに2ヶ月ぶりに団地の外へ。青空の下、初夏の日差しが眩しいけれど、見慣れた風景に人影はまばら。車は殆ど走っておらず、配達員のお兄ちゃんの電動バイクだけが行き交う。飲食店や美容院、洋服屋さんなどはどこも閉店。営業許可が出ているのはスーパーとコンビニくらいなのだろう。

 いつものスーパーに行くと店の前に行列。入場者をコントロールしているのだ。しばらく待って入店すると、野菜、肉、魚、飲料に加工食品、品揃えは普段の8割くらいだろうか。2軒をはしごしたら、食品だけで大きな袋2つ分になった。

 

 やっと戻ってきた日常に大いに感動するつもりだったけれど、街全体がまだ病み上がりのよう。コロナとの戦いはまだ終わってないんだなと思い、大人しく帰路についた。それでも道端で雑談する上海のおばちゃん達の声はいつものようにやかましく、元気一杯だったな。もうひと頑張り、上海加油!!