2009-11-01から1ヶ月間の記事一覧

『アトランティス・ミステリー』

『アトランティス・ミステリー』庄子大亮 今から1万2000年前、アトランティス大陸はジブラルタル海峡の西側の大西洋に浮かんでいた。豊かな資源と強力な軍事力をもち栄華を極めたが、奢り高ぶった結果ゼウスの怒りをかい一昼夜のうちに海に沈んで跡形もなく…

『銀天公社の偽月』

『銀天公社の偽月』椎名誠 絎針玄華(くけばりげんげ)、葬式蛭(とむらいびる)、捻転如雨露(ねんてんじょうろ)、滑騙(ぬめりだまし)、磯巻舌(がしがし)、・・・やたらと画数が多くて書くのが難しそうな名前が並ぶ。大きな戦争の後の未来社会、疲弊し荒…

『スターバト・マーテル』

タイトルの邦訳は『悲しみの聖母』。キリストの最期に直面した聖母マリアの悲しみを歌った詩は13世紀に書かれたもの。たくさんの作曲家がこの詩に曲をつけいる。今回聴いたのはジョバンニ・バティスタ・ペルゴレージの作品。演奏はクリストフ・ルセ指揮ル・…

『時計じかけのオレンジ』

近未来を描いたスタンリー・キューブリック監督作品、公開は1971年。大阪万博の翌年、あの頃の未来ね…。新しいのだけれど古い「昔の未来」はどこか懐かしい匂いがする。大阪万博が明るい未来なら、この映画は退廃した暗い未来。 主人公アレックスは学校にも…

『黄金狂時代』

チャップリンの『黄金狂時代』(The Gold Rush)を観た、「タイトルは知ってるけど観たことがない映画を観てみよう運動」の一環だ。ゴールドラッシュのアラスカ、一攫千金を夢見て幾千人もの男たちが集まる。一人峠を越えるチャーリー(チャールズ・チャップ…

坂の上の雲ミュージアム

仕事で松山に行った際に立ち寄った。このミュージアムは松山市内随一の繁華街の北側、松山城のふもとにある。大通りからほんの少し入っただけだが、お城の山を背景にシンと静まった一角にそびえる、鋭角を強調した現代的というか未来的デザインの建物だ。 言…

『元素生活』

『元素生活』寄藤文平 これまた面白い本だ。物質を構成する水素、ヘリウム、リチウム、ベリリウム・・・・昔化学の時間に習った「元素」は全部で111個あるという。名前と元素記号が書かれた「周期表」はカナリとっつき難かった。一部の金属を除いて具体的にその…

『タイタス・アンドロニカス』

シェイクスピアの悲劇、タイタス・アンドロニカスを読んだ。タイトルは武勇の誉れ高きローマの老将軍の名前だ。タイタス・アンドロニカスはゴート族との戦いに勝利し、ローマへ凱旋する。捕虜としてローマに連れてこられたゴート族の女王タモーラはローマ皇…

世界に誇る日本の技術!

私の寒さ対策・・・そりゃもう絶対にカイロでしょうカイロ(断言)!! 冬は苦手だ。子供の頃から暑さにはめっぽう強かったが、冬の寒さには弱かった。ポケットに手をつっこみ、背中を丸め「寒い寒い」が口癖になる。ストーブの前が定位置になり、そこから離れ…

『TIME×YEN時間術』

『TIMExYEN時間術』長野慶太 自分の時間を管理して有効に使うノウハウを教えてくれる時間術の本は少なくないが「死からの逆算の時間術」などと言われると「えっ何?」と思ってしまう。そういう本なのだ、この本は。 時間を有効に使いたい、無駄な時間を減ら…

『禁断のパンダ』

『禁断のパンダ』拓未司 「何だよそのタイトル?」というのが第一印象。薦めてくれた後輩によると、『美味しんぼ』のようなミステリー。とにかく料理の描写がスゴイのだという。文庫の帯には”グルメ・ミステリー”の文字。何じゃそりゃ?著者の拓未司は元フレ…

長島の朝日

三重県の長島温泉にいってきた。 海沿いに立つホテルの6階の部屋から見た朝日。日の出の少し前に目覚め、カーテンを開けると空がジワジワと明るくなっていった。日の出の瞬間、光る点が見る見る大きくなって太陽になっていった。前の晩遅くまで飲んでグダグ…

『世界怪魚釣行記』

『世界怪魚釣行記』武石憲貴 ナイル川、アマゾン川、パプアニューギニアにタイ、そしてモンゴル。ただひたすら怪魚を求めて世界の秘境に挑んだ釣りキチのディープすぎる記録。狙う獲物は幅2mオーバーの巨大エイ、古代魚ピラルクー、金色に輝くバラマンディ…

『99.9%は仮説』

『99.9%は仮説』竹内薫 面白いタイトルだと思った。科学の世界では仮説を立てそれを検証する。十分に検証され、皆に認められた仮説は通説と言われる。通説によって世界は説明され解釈されるので、我々一般人にとってそれは動かしがたく、絶対なものに思える…

『市民ケーン』

個人的に実施している「タイトルは知ってるけど観たことがない映画を観てみよう運動」の一環で『市民ケーン』を観た。映画史に燦然と輝く名作中の名作だ。この映画が公開されたのが1941年。当然モノクロ画面+モノラル録音。当時として画期的な技術やアイデ…

『美しいこと』

『美しいこと』赤木明登 石川県輪島の塗師(ぬし)赤木明登が彼同様、自分の手で何かを作ることを生業としている友人たちを訪ねるエッセイ『美しいもの』の続編だ。この本では14組19人の友人が紹介されている。前作同様魅力的な人たちばかりだ。 木工職人、…

『「十五少年漂流記」への旅』

『「十五少年漂流記」への旅』椎名誠 文学であれ音楽であれ、作者と鑑賞者との間には必ず大きな溝がある。全く同じ価値観や趣味嗜好、考え方を持つ人間が決していない以上、これは当然のことだ。この溝を少しでも埋めようと、人類は昔から涙ぐましい努力をし…

『赤い指』

『赤い指』東野圭吾 ひどい話だ。子を持つ親の一人として心をゆさぶられた。一日の勤務が終わる頃、前原昭雄は妻から電話で「早く帰ってきてほしい」と言われる。帰宅してみると中学生の息子が殺した女の子の死体が庭にあった。自室に閉じこもる息子、何とか…

『ナヴァロンの要塞』

『ナヴァロンの要塞』アリステア・マクリーン ナヴァロンというのはエーゲ海に浮かぶ島の名前だ。時は第二次世界大戦中、ナヴァロン島にはドイツ軍の要塞があった。ナヴァロンの北にあるケロス島には孤軍奮闘する1200人のイギリス将兵が助けを待っているのだ…

『ブラックサイト』

2008年公開のアメリカ映画。Webカメラで殺人が実況中継される。そのサイトへのアクセス数が増えるにつれ犠牲者は死に近づく。原題はUntraceable(アントレィサブル:追跡不能)。高度な知識をもつ犯人のサイトは誰でも見にいけるのだが、当局による封鎖がで…

秋の夜長の過ごし方

日没前後のひと時、秋の夕暮れを楽しむ。ビルの窓の一つひとつがオレンジ色に染まり、空に赤から濃紺への見事なグラデーションが描かれるのを見ながら「日が短くなったなぁ」とお決まりのセリフをつぶやく。頭の中に昔聴いたメロディが流れる。仕事はもうこ…