2009-09-01から1ヶ月間の記事一覧

『地震がくるといいながら高層ビルを建てる日本』

東京生まれでスウェーデン人のご主人を持つデュラン・れい子の2作目。スウェーデン、オランダ、ブラジル、フランスで主婦として生活し、版画家として活動する中でいやおうなしに直面する外国と日本とのギャップ、考え方や価値観の違い。その数々を楽しく紹介…

『荒鷲の要塞』

『荒鷲の要塞』アリステア・マクリーン 先に紹介した土屋賢二の『汝みずからを笑え』の中で絶賛されていた。土屋賢二によると、筋がこみいっていて、予断を許さない。最初から最後までスリルとサスペンスの連続でたるむところがない。展開がきびきびしていて…

『地団太は島根で踏め』

日本語は現場で起きている。滋賀には「急がば回れ」のT字路がある。石川で「ごり押し」するとうまい魚が食える。三重では「あこぎ」な息子が実の母を・・・。帯に書かれた魅力的なフレーズに目が釘付けになり、読まずにはいられない。語源を解説してくれる本は…

『舞妓Haaaan!!!』

「面白かったですよー」ランチタイムの喫茶店でカレーを食べながら勤め先の後輩に勧めらた。舞妓さんオタクのサラリーマン鬼塚公彦が、京都のお茶屋で舞妓さんと野球拳をするという夢に向かって猛進するドタバタコメディ、2007年公開。主役の阿部サダヲも小…

『汝みずからを笑え』

土屋賢二は哲学者でお茶の水大の教授。実はこの人の書くエッセイが大好きで、数えてみたらこれで6冊目だった。『われ笑う、ゆえにわれあり』『人間は笑う葦である』『棚から哲学』・・・・タイトルがいかにも哲学の先生っぽくておかしい。 大学の先生の書いた本…

『シェイクスピアを楽しむために』

この春からシェイクスピアの戯曲を読んでいる。特にシェイクスピア好きというわけではないし、演劇や英国に造詣が深いわけでもない。ただ、シェイクスピアは何かにつけ引用されることが多く、西洋人の思想のバックボーンとして無視できないので機会があれば…

『ハムレット』

シェイクスピアの最も有名な戯曲の一つ。主人公ハムレットの父である先王が亡くなり、デンマーク王の座は先王の弟、ハムレットの叔父であるクローディアスが受けついだ。そしてクローディアスは王位につくと同時に先王の妻、ハムレットの母であるガートルー…

『半落ち』

2004年公開の映画『半落ち』を観た。横山秀夫のベストセラー小説を寺尾聡の主演で映画化したものだ。アルツハイマーの妻啓子(原田美枝子)の首を絞めて殺したと自首してきた梶聡一郎(寺尾聡)は警察官だった。梶は犯行を認めているのだが、殺害から自首ま…

『黄金のローマ』

塩野七生のルネサンス歴史絵巻三部作、『緋色のヴェネツィア』、『銀色のフィレンツェ』に続く第三作。若きヴェネツィア貴族マルコ・ダンドロと高級遊女オリンピアはフィレンツェからの旅を終え、ローマに落ち着いていた。時は1537年から38年にかけて。ロー…

『ウィンザーの陽気な女房たち』

シェイクスピアの喜劇『ウィンザーの陽気な女房たち』を読んだ。物語の中心は太っちょの騎士ジョン・フォールスタッフ。気位は高いが財産はなく、大酒飲みで女癖が悪い。しかし頭の回転が早く、弁舌巧みでどこか憎めない。シェイクスピア作の『ヘンリー四世…

ソバの花

信州は松本にきている。この時期の松本は蕎麦の花ざかりだ。郊外に広がるが蕎麦畑が白い花でおおわれているのを見たのは多分初めて。たまたま通りがかり車を停めた。このまっ白い可愛らしい花の実が、黒い蕎麦になるというのは面白いなと思うけれど、痩せた…

『害虫の誕生』

ガイチュウのタンジョウ??害虫が卵から孵化することではない。そもそも「害虫」というコトバは19世紀までは日本語の辞書にはなかったという。それじゃぁ害虫が日本にいなかったのかというと、そんな事はない。ノミやシラミ、作物に害を与える虫は昔のほう…

Palmのこと・・・・これがないと困る!

今週のお題 自分にとって「これがないと困る!」というものはなんだろう、Hatenaの今週のお題はナカナカ難しい。空気と水と衣食住関連は除いて考えよう。これらは「これがないと死んじゃう!」だ。あと平和とか自由、家族や友達も除外させてもらおう。これら…

『あやしい探検隊アフリカ乱入』

突然だが、我が家のトイレの横に小ぶりな本箱がある。ガラスの扉がついた幅1m高さ2mほどのこの本箱は日頃メインで使っているものではない。この家に越してきた1995年当時に所持していた本が入れたままになっている。週末の朝にゆっくりとトイレに入るときは…

『エデンの東』

ジェームス・ディーンの初主演映画『エデンの東』を観た。1955年公開のこの作品でジェームス・ディーンはアカデミー賞の最優秀主演男優賞にノミネートされ世界中から注目を浴びたのだが、同年9月、交通事故で帰らぬ人となった。夭折した伝説のスター、彼の出…

『美しいもの』

とびっきり素敵な本と出合った。オフホワイトの紙面に並ぶ文字と余白と落ち着いた色合いの写真。ついつい引きこまれ、半分以上をいっきに読んでしまい、もったいないと思って本を閉じた。その後は一日に一章ずつ、家族が起きる前に早起きして大切に読んだ。…

『マルクスは生きている』

『マルクスは生きている』不破哲三 タイトルの通り「マルクスの思想・哲学は現代社会にも通用する、生きている!」という内容の本なのだが、この本はその前半でマルクスの世界観、経済学、未来社会、革命論などのあらましを丁寧に解説している。あまりマルク…

『お気に召すまま』

シェイクスピアの時代よりずっと以前から、ヨーロッパの人達は森や田舎での暮らしに憧れを抱いていたという。街を遠く離れ、不便ではあるが自然の懐の中で自由に暮らす、羊飼いの青年と純朴な乙女の恋を描いた詩や小説、絵画や戯曲が書かれた。実際の牧童の…

『感染列島』

今年1月公開の映画、『感染列島』を観た。この映画が公開された頃、「パンデミック」という言葉はまだ聴きなれていなかった。インフルエンザウィルスやその変異についても何も知らなかった。それから数ヵ月後にメキシコで豚由来の新型インフルエンザが発症…

『ミラーズ』

2008年アメリカのホラー映画を観た。大火災の後放置され廃墟となったデパート(怖っ!)が舞台。店内は火災の後が生々しいのだが、数多く残された鏡だけはピカピカに磨かれている。ピカピカな鏡に手の跡がついているのだけれど、この手の跡は拭いても消えな…

『リチャード三世』

シェイクスピア若き日の戯曲。1471年のテュークスベリーの戦いから、十四年後のボズワースの戦いまでのイングランドが描かれており、シェイクスピアの作品の中では「歴史劇」に分類される。先に書かれた三作品、 ヘンリー六世 第一部 、 第二部 、 第三部 に…

節目感

夏休みが終わった。会社勤めの身としては夏休み=盆休みなので、夏休みはとっくに終わっているのだけれど、9月になると「夏休みが終わった」と思ってしまう。学生の頃の名残にすぎないのだが、少しだけ気持ちが新たになったりする。そう、実感として9月1日は…