『時計じかけのオレンジ』
近未来を描いたスタンリー・キューブリック監督作品、公開は1971年。大阪万博の翌年、あの頃の未来ね…。新しいのだけれど古い「昔の未来」はどこか懐かしい匂いがする。大阪万博が明るい未来なら、この映画は退廃した暗い未来。
主人公アレックスは学校にも行かずに仲間達と毎夜遊び狂う。喧嘩、暴行、強姦の日々。いきすぎた暴力は殺人に至り、アレックスは14年の刑に服することになる。獄中の噂で耳にしたブロドスキー博士のルドビコ式心理療法、それを受ければ刑務所から出られるという。迷わず志願したアレックスを待っていたのは…。
この映画、実は1984年に映画館で観ている。主人公アレックスを演じるマルコム・マクドウェルの強烈な存在感と、暴力と性の描写の美しさにだただた圧倒された。今回四半世紀ぶりの再会で感じたのは人間に秘められた暴力への衝動と、それを排斥しようとする社会という枠組みの不確実性。
力を持つ者が勝つという力のルールと、勝てば官軍、勝った者が力を持つという勝者のルール。社会がどんなに発展しようとその根底には弱肉強食の原理が横たわる。法の下の平等、弱者救済をどれだけ押し進めようが、この原理は決して無くならないのかもしれない。
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