坂の上の雲ミュージアム


 仕事で松山に行った際に立ち寄った。このミュージアム松山市内随一の繁華街の北側、松山城のふもとにある。大通りからほんの少し入っただけだが、お城の山を背景にシンと静まった一角にそびえる、鋭角を強調した現代的というか未来的デザインの建物だ。

 言わずと知れた司馬遼太郎の小説『坂の上の雲』を記念してのミュージアム、平成19年にオープンしたというから、まだまだ新しい。400円のチケットを購入し、なだらかなスロープをあがると入り口がある。3人の主人公を意識してか、この建物は三角形をしている。建物の外観が鋭角に尖がっていたのはそのためだ。


 2階から4階までが展示スペース。大きな展示室が3つあるが、それ以外にも通路の脇や壁際にパネル展示がある。これらの展示の一つひとつが明治の昔、この地松山に秋山兄弟と子規が生きたという事実を雄弁に物語る。夢中で読んだ小説の世界と現実の歴史が交錯し、その歴史の流れの先にいる自己を意識させられる。

 駆け足の見学だったが、司馬遼太郎によって描かれた郷土の偉人を大切に思う気持ちが伝わってくる、素敵なミュージアムだった。