ソバの花


 信州は松本にきている。この時期の松本は蕎麦の花ざかりだ。郊外に広がるが蕎麦畑が白い花でおおわれているのを見たのは多分初めて。たまたま通りがかり車を停めた。このまっ白い可愛らしい花の実が、黒い蕎麦になるというのは面白いなと思うけれど、痩せた土地、寒冷な気候でも育つソバは「黒麦」ともよばれていたという。秋は気持ちの良い信州も、冬になれば寒さが厳しい。その昔はこの白い花の後にとれる黒い実を収穫しては冬に備えたのだろう。4年ほど前になろうか、まだ元気だった祖母を囲み松本にあるお蕎麦屋さんに行った事が思い出された、さわやかな秋の一日だった。