長居公園〜大阪市立自然史博物館


 三連休のよく晴れた午後、大阪市住吉区長居公園を訪れた。地下鉄御堂筋線長居駅で降りるとすぐそこに公園の入り口がある。お昼がまだだったので、目に入った餃子の王将で餃子とビールと麻婆丼で腹ごしらえをして公園へと向かった。

 秋の陽射しの中、公園は賑わっていた。レジャーシートを広げた家族連れ、ウォーキングやジョギングに励む人、大きなカメラを携え花や木々の写真を撮る人、ギターの生演奏をバックに懐メロを歌うご老人のグループも・・・。皆思い思いに秋の午後を楽しんでいる。Jリーグの試合が行われる長居スタジアムはこの日はイベントが無いようだったが、第二陸上競技場では学生さんの陸上の大会が開かれていた。スポーツの秋なのだ。広大な敷地は緑に溢れていて、木漏れ日の中を歩くと実にすがすがしい気持ちになる。広い池には鯉や亀の姿があった。園内をぐるりと一周歩いたが汗ばむこともない。数週間前だったらグダグダになっていたところだろう。いつの間にか季節は遷り変わっている。

 公園の一角にある大阪市立自然史博物館を訪れた。入り口で迎えてくれたのは大きなナガスクジラ。堺泉北港に流れ着いた死体を7年がかりで骨格標本にしたものなのだそうだ。館内はテーマごとに展示室が5つ。太古の昔から現代までの動物や植物が展示してある。「自然史」というくくりは人類のいわゆる歴史と比べると圧倒的に幅広く、学問としても細分化されているのだろう。それをどう見せるのか、苦心の跡がうかがわれた。特別展の『OCEAN!〜海はモンスターでいっぱい』は6億年前から現代に至る、さまざまな海の生き物たちの化石や模型が展示してあった。アンモナイト三葉虫シーラカンスといったおなじみさんもいたけれど、初めて見るものもいくつか。中でも固い骨格の鎧で体を覆われた板皮類ダンクルオステウスの頭部は迫力があった。デートで立ち寄ったと見られる学生風カップルの男の子が無顎類の甲冑魚を見て「かっけー!」と言っていた。その気持ちワカルぞ。

 来場者は少なくなかったが、自分のペースでゆったりと見学できた。子供の頃、夢中で何度も読み返した古代生物の本があった。そういう記憶は何年たってもしっかり頭に刻み込まれているようで、どこか見覚え聞き覚えのある名前が沢山あった。知識というよりも整理されていない乱雑な記憶。すこし懐かしい気持ちになれた秋の午後だった。