仁徳天皇陵


 三連休の最終日、大阪市のお隣、堺市に行ってきた。お目当ては仁徳天皇陵。歴史の教科書に写真が載っていた、鍵穴のような形をしたアレ。三重の堀をめぐらし、クフ王のピラミッド、秦の始皇帝陵とともに世界三大墳墓に数えられるという、日本一の前方後円墳を一度見てみたかったのだ。

 難波から南海電車の準急で14分、三国ヶ丘駅で降りるとこんもりと森のように見える。近くまで行くと柵の向こうにお堀があり、その向こうにうっそうと茂った木々が見える。立ち入り禁止の札に宮内庁と書いてなければ公園か何かと間違えそうだ。天気の良い昼下がり、古墳の大きさを体感すべく、ぐるりと一周歩いてみることにした。後円部の右上あたりから左回りに歩き始める。辺りは普通の民家が並ぶ、ごく普通の住宅街だ。お堀の向こうからは鳥の鳴き声が聞こえてくる。街の中に残された自然だ。お堀沿いの道が周遊路になっていて、全長は2.8kmある。12時22分から歩き始め、もとの位置まできたのは12時57分。真夏に来なくて良かった。

 今歩いてきた道を再びもどって前方部の真ん中に。そこに拝所があって、外から2つめのお堀の所まで入ることができる。鳥居があって、その先に3つめのお堀があり、その向こうに仁徳天皇陵の本体が見える。今まで見えていたのは一番目のお堀と二番目のお堀の間の額縁のような部分だったのだ。鳥居の向こうに見える本体に「おぉ、コレがあの仁徳天皇陵か」と少々感動するが、やはり森にしか見えなかった。大陸の技術を導入し2,000人で16年かかったという大墳墓は確かに壮大なのだが、木々で覆われてこんもり小山のように見えるせいだろう、威圧感はなく優しくそこに佇んでいた。

 函館五稜郭のように、近くにタワーを立てるか、気球か何かで上から見下ろせるようなサービスがあれば、皆あの鍵穴の形が見られるのに、と思った。しかし考えてみればこれはお墓。見下ろしたんじゃぁ罰当たりだ。ぐるりと一周半してその大きさを体感できた。これで良しとしようか。

 すぐ隣にある大仙公園ではバーベキューを楽しむグループ、ボール遊びをする子供たち、みな思い思いに休日を楽しんでいた。公園内にある堺市博物館を見学。特別展「自由都市の軌跡」では鎖国以前の朱印船貿易で賑わった堺の町を、当時の地図や絵画、日本からの輸出品だった洋櫃や手織緞通などで紹介していた。

 一休みした後また40分ほど歩き、阪堺電車宿院駅近くの老舗蕎麦屋「ちく満」へ。畳敷きの座敷に上がってまずはビール!。疲れた体にしみ渡る。ちく満の盛り蕎麦は独特で、せいろで蒸された熱々の蕎麦を卵の入ったつけ汁で食べるのだ。初めての食感、何だかホノボノした味わいに癒される。近くにある、こちらも老舗の甘味処「かん袋」で名物くるみ餅を買い帰路につく。よく歩いた・・・・秋の一日だった。

ちく満

食べログ ちく満

かん袋

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