『15分あれば喫茶店に入りなさい。』


 著者の齋藤孝明治大学の文学部教授。『声に出して読みたい日本語』や『三色ボールペン情報活用術』を書いた人だ。『15分…』のタイトルが示す通り、ちょっとしたスキマ時間の活用法でもあるけれど、そこから一歩進んで、仕事や勉強をするためにわざわざ喫茶店に行く事を提唱している。喫茶店にはオフィスと自宅、オンとオフの中間的な環境、リラックスできるけれどだらけすぎない雰囲気がある。この環境は何かについて掘り下げて考えるような知的生産活動に向くのだという。そしてこの「ちょっとだらけた公共性」の中に身を置くことで自分自身にスイッチが入るので、それを見越して言わば戦略的に喫茶店に行き成果を上げることを「喫茶店タクティクス」と呼ぶのだそうだ。ナルホド。

 タイトルの「喫茶店」には「カフェ」とルビがふってある。確かにスターバックスドトールサンマルクカフェといった「カフェ」では書類に目を通すビジネスパーソンの姿が少なくない。テキストやノートを広げる学生さんも見かける。自分は営業という仕事柄、社外に出る機会は多い。実際に仕事の合間に「カフェ」を利用してみると、次の訪問先での面談に備えて頭を切り替え整理するのに丁度よい。前の仕事のアレコレと一時決別し次の仕事に目を向ける。懸案事項をおさらいし、臨戦体制で次の仕事に臨むことができる。時間ギリギリで駆けつけて「えーっと、何の話だったっけ…」などという状態とは雲泥の差だ。アポイントの時間に余裕をもたせ、喫茶店での15分をはさむ事は仕事の効率を上げると思う。

 朝夕の通勤途中に喫茶店で勉強時間を確保するのも良いそうだ。毎朝1時間スターバックスで勉強して司法試験に合格したサラリーマンの例が上げられていた。さて、わが身を振り返ったとき、朝はともかく夕方はどうだろうか?自分には他に行かなくてはならない所があるのだが…。齋藤先生の教えは酒飲みにはチト厳しい。

15分あれば喫茶店に入りなさい。
作者: 齋藤孝
メーカー/出版社: 幻冬舎
発売日: 2010/09
ジャンル: 和書