味噌煮込みうどん


 寒波到来で日本中が冷え切ったこの日、出張で名古屋に行ってきた。自分の地元だ。京都に近づくと窓の外は雪。米原あたりは真っ白だ。案の定、のぞみ号は35分遅れで名古屋駅に到着。幸い早めに大阪の事務所を出発していたので慌てることはなかったが、駅周辺は白い雪に覆われていた。

 午後一杯の会議やら打ち合わせやらの後、皆で会食。ビールと焼酎をいただき、ほろ酔い加減で気分良く店を出てみたら驚くほど寒い!酔いも吹き飛ぶ寒さだ。震えながら地下鉄に駆け込み名古屋駅へ。そのまま帰路についてもよかったのだが、冷えた体を温めるべくフラフラと地下街にある山本屋本舗へ行ってみた。ランチタイムには行列のできる人気の味噌煮込み専門店なのだが、時刻は午後九時近く。すぐに席へと案内された。味噌煮込みうどんを注文し、待つことしばし。お盆に乗ってやってきた土鍋はグツグツと煮え立っていた。

 ふたを取るとモワッと湯気が上がる。煮え立つ赤味噌の汁の中に見え隠れする白い麺、ネギに白菜、かまぼこ鶏肉。真ん中に落とされた生卵の黄色が食欲をそそる。土鍋のふたを取り皿にしていただくのが名古屋流。麺をたぐりフハフハいいながら一口すすると、赤味噌の濃厚な味わいと鰹だしの香りが口中に広がる。味噌煮込み専用の麺は弾力があって硬い。小麦粉がギチギチに圧縮してある感じだ。四国の友人から、さぬきのうどんは喉越しを楽しむと教えられたが、名古屋の味噌煮込みうどんはよーく噛んでいただく。モチモチの歯応えがたまらないのだ。この歯応えに匹敵するのは、山梨県富士吉田市の吉田うどんくらいのものだろう。このくらいシッカリした麺でないと味噌の濃厚な味に負けてしまうのだ。卵をつぶしてかき混ぜると、味はぐっとマイルドになる。優しくて暖かい味わいで、かまぼこがホッコリして美味しい。それに飽きたら唐辛子をパラパラとふりかける。味噌の風味の中にアクセントがつき、「おい、ナメルナよ!」といった感じ。これまた美味しく楽しい。

 お汁まですべて完食すると、先ほどまでの寒さはどこへやら。額の汗をハンカチで拭いながらお会計。味噌煮込みうどん一杯1,260円也、少々高いので頻繁には食べられないが、やはり山本屋の味噌煮込みは美味しい。新幹線の改札へ行き、寝過ごさぬように、乗るのは新大阪行きののぞみ号。そして着席とほぼ同時に夢の中・・・。満足満足。