おやすみ3秒

 自分はものすごく寝つきが良いようだ。ベッドに横たわり、目を閉じると程なく眠りに落ちる。あれこれ考えたり、思いを巡らす間もなく眠ってしまう。いつまでも眠れずに悶々とするようなこととは全く無縁で、妻曰くおやすみ3秒。不眠症に悩む方には実に申し訳ない。

 出張先や旅先で枕が変わろうが環境が変わろうがお構いなし。出張に同行した取引先の人から「ベッドが柔らかすぎて眠れなかった」などと言われても「そうでしたっけ?」といった具合。合宿や慰安旅行の雑魚寝も平気だし、周りが少々うるさくてもノー・プロブレム。電車や飛行機での移動中も、寝ようと思えば大抵はすぐに眠ることができる。昔、青春18切符で友人達と旅した時など、夜を徹して走る電車の通路で大の字になって眠っていたらしい。どこでもすぐに眠ることができるのは、自分のちょっとした特技なのかもしれない。

 子供の頃はそうでもなかった。なかなか寝付けぬ夜、あれこれ空想を巡らすのが楽しかった。今でも覚えている定番は地底探検車に乗っての冒険と、ロボットを操って悪を倒す空想。毎日布団に入ると昨日の続きを考えるのだが、決着がつく前に眠ってしまうので、いつも同じようなところをグルグル空想していたような気がする。子供の頃は親から「早く寝なさい!」と言われ、眠くもないのに床についていたからだろう。

 大人になり自分の意思で眠る時間を選択できるようになってからは違う。以前眠りについて睡眠時間という記事に書いたのだが、自分は基本的に眠ることが好きではない。寝てしまうなんてもったいない、できる限り起きて活動していたいと思うのだ。そんなわけだから、床に就くのは精魂尽き果て「電池切れ」になる時(もしくは酔っ払って「もうダメ」状態になった時)。おやすみ3秒は当然の帰結であって、特技とは言えないのかもしれない・・・。