ハクサンすじ焼

 三連休最後の日、所用で訪れた神戸三ノ宮。帰りの電車を待つ間、小腹が減って何か食べたくなった。大好きな餃子専門店『赤萬』にも行きたかったけれど、この日向かったのはお好み焼きの店『ハクサン』。JR三ノ宮駅から通りをはさんで海側、「さんプラザ」の一階にこの店はある。美味しいとの評判を聞いていたのだが、訪れたのはこれが初めてだ。

  午後4時過ぎの店内に先客は二名。お好みとBeerで満足気なおっちゃんと、常連と思しきおばあちゃん。小奇麗な店内だが庶民的な優しさが感じられる。注文を聞きにきた爽やかなお嬢さんに生Beerとすじ焼をお願いする。

 生Beerで喉を潤しながら待っていると、焼きたてのすじ焼が運ばれてきた。小ぶりで薄手に仕上げられたすじ焼にはソースがかかっていない。お客が思い思いの味付けするのがこの店の流儀らしい。テーブルにある二種類のソースから甘口をセレクトし、刷毛でペタペタこれでもか!とばかり塗りたくる。青海苔たっぷり、前歯に付いたって構わんもんね。仕上げにカツブシをパラパラとまぶして出来上がり。マヨネーズは無いようだ、賛成。

 すじ焼は神戸お好み焼きの定番で、牛スジ肉とこんにゃくを小さく刻んで甘辛く煮込んた「すじコン」が入っている。小麦粉生地の柔らかさとキャベツのシャキシャキの間で、すじ肉の歯ごたえがシッカリ自己主張している。同時にツルッとしてシコシコのこんにゃくが口の中で踊って、何とも素敵な食感が楽しめるのだ。そして、よく煮込まれたすじ肉は噛むほどに味わい深く、お好みソースの濃厚な味や青海苔の香りに全く負けていない。1センチ角に満たない小粒ながら存在感たっぷり、豊潤なすじ肉の味と風味が口中いっぱいに広がるのだ。

 派手さは無いけれど、深みのある味わいを楽しめる一品、当然の事だがBeerが旨い。すじ焼き800円と中生500円。あっという間に平らげた至福の一時。また来たいと思う、神戸三ノ宮の『ハクサン』だった。