『私のアイドル』


 今週のお題は「私のアイドル」。このお題と全く同じタイトルの曲を知っている。チューリップというバンドが1974年にリリースした彼ら4枚目のアルバム『ぼくがつくった愛のうた』。その2曲目がその名もズバリ『私のアイドル』という曲。ミディアムテンポの8ビートに乗るリードボーカル財津和夫。小気味良いギターのサウンドと美しく楽しげなコーラスが印象的な曲。ライブでは思い切り盛り上がるナンバーだ。

 ギターを抱えた姿が、とても素敵だった
 あなたの写真は、あなたの声は、私を狂わせた・・・


 チューリップというバンドに出会ったのは30年以上昔のこと。『虹とスニーカーの頃』という曲が大ヒットして、一躍脚光を浴びていた。親友が惚れ込んで、LPレコードを貸してくれた。当時の自分はThe BeatlesQUEENを聴いていたのだけれど「お、日本のバンドもなかなかじゃん」と思ったことを覚えている。

 いつしか彼らの音楽に引き込まれ、10代の後半の自分にとって彼らはまさに「私のアイドル」で、レコードやカセットテープがいつの間にか増えていった。当時の仲間とコンサートに何度も足を運んだが、いつ行っても3〜4割は男性客がいた。確かな音楽性を演奏力を兼ね備えたバンドの証明だろう。女性ファンの声援に混じって、野太い男声の「財津さぁ〜ん」は定番だった(笑)。

 流れる月日に私も、やがて大人になった
 あなたの歌う声が、いつか遠く消えていった
 バイバイバイ私の憧れ、バイバイバイ私のアイドル・・・・

 『私のアイドル』のエンディング部分の歌詞のとおり、いつしか自分も大人になり、彼らは遠い存在になっていった。それでも、何かの折にふと頭をよぎるメロディーは彼らの音楽である事が多い。今でも歌詞をシッカリ覚えているし、コーラスのパートだって歌える自信がある(笑)。そして、自分の価値観、世界観は、彼らの音楽や詩から少なからず影響を受けている気がする。若い頃に聴きこんだ音楽は、血となり肉となり、自分のベーシックな所にしっかり根付いているのだろう。

 何度かのメンバーチェンジや解散を経て、彼らも還暦を超えたが、今でも現役で演奏活動を続けている。今年の秋には名古屋でもコンサートがあるようだ。久しぶりに「私のアイドル」に会いに行こうかな。