高松城下ぶらぶら

 四国出張の帰りに寄り道して、香川県の高松まで行ってきた。高松を訪れるのはこれが初めてだ。特急列車からホームに降り立ち、軽く伸びをして首をゴリゴリ肩をトントン・・・。いつも思うのだが、初めての町に到着すると心が躍る。映画の主人公になったような、何かが起きそうな予感・・・。もちろん大した事は起きはしないのだが、見るもの全てが目新しくてワクワク感がつのる。この感じが好きだ。

 コインロッカーに荷物を預け、向かったのは観光案内所。親切そうなお姉さんが二人いて、観光客に対応していた。2−3時間で観て回れるスポットを訪ねると、駅近くの玉藻公園を勧めてくれた。チラシをもらい案内所を後にし、駅前の広場から信号一つ渡ると、もうそこが玉藻公園だった。

 玉藻城と呼ばれた高松城の跡が市によって整備されて玉藻公園となっている。「玉藻」の名は讃岐の国の枕詞「玉藻よし」に由来するという。なかなか素敵な名前だ。四国最大と言われた天守閣は、老朽化のため明治17年に取り壊され、今は石垣が残るだけだが、月見櫓や渡櫓、瀬戸内海から堀へと水を引いた水門などが当時を偲ばせる。公園の北隅には城主が海から直接城内へと入るための水手御門(写真)が残っていた。水城ならではの海の玄関口、参勤交代から帰ってきた殿様をここから迎えたそうだ。

 公園の中央には披雲閣(ひうんかく)という大きな建物がある。かつては藩の政庁や藩主の住まいとして機能していたが、現在あるのは大正時代に再建された建物。昭和天皇も宿泊したという。中に入るとひんやりと涼しく、落ち着いた空気が漂う。現在では市民の集会場として開放されている披雲閣、この日は「香川県農業推進会」の皆さんが懇親会を開いていた。開け放たれた大広間から聞こえるざわめき、テーブルの上にはお弁当とBeer・・・ウラヤマシイ(笑)。

 公園内を一人ぶらぶらと1時間半ほど。そろそろ一休みしたい頃だ。香川県と言えば「うどん県」。せっかくだから本場で讃岐うどんを食べてみたいものだと高松駅前周辺でうどん屋さんを探すが、これが意外と見当たらない。最初に見つけたお店は何とビールが切れているというのでパス。その後延々と30分ほどウロウロ歩きまわるが見つからない。フェリー乗り場から見える瀬戸内海。気がつけば太陽が顔を出し、真夏の陽射しがジリジリと照りつける。暑い・・・。やっとの思いで見つけたら2軒続けてお休み。そう言えばTVで観た「本場の讃岐うどん」のお店は住宅街や田畑の真ん中にあったっけ・・・。かなりヘコタレ、もう駅構内のうどん屋さんでイイかもと思った頃に見つかったのは「めりけんや」というセルフうどんのお店だ。迷わず飛び込む。揚げ物をアテにBeerをグビグビ・・・そして讃岐うどん。至福の一時だ。

 初めて訪れた高松は曇り後晴れ。玉藻の城跡と瀬戸内海とナカナカ見つからない讃岐うどん。いつかゆっくりうどん屋めぐりなんてのも良いかもね。