CD


 子供の頃から週間のマンガ雑誌はほとんど買ったことがない。マンガは単行本で一気に読むのが好きだったから。テレビの歌謡番組などもあまり興味がわかず、気に入った歌手のレコード、それもシングルではなくアルバムでじっくり聴くのが好きだった。自分は基本的に「広く浅く」より「狭く深く」という考え方や生きかたを選んできたように思う。

 そんな自分なので、気に入ったミュージシャンの作品は全て聴きたいと思ってしまう。デビュー当時からずっと応援してきました、というような例はなく、何かのキッカケで大好きになり、後から1stアルバムまでさかのぼって買い集めていくことになる。骨が折れるけれど、そのミュージシャンの足跡を逆にたどっていくのは楽しいものだ。30代の頃だが、昔憧れたイギリスのロックバンドQUEENのアルバムを、毎月1枚ずつ買い続け、2年近くかけてオリジナルアルバム全てを揃えたことがあった。同様に、昔から好きなTULIP、ブラジル音楽のショーロクラブ、ジャズヴァイオリンの寺井尚子のCDが全て揃っている。当然お金がかかるので、一気に全て大人買いとはいかず、月に1枚か2枚ずつコツコツ買ってきた。オークションや中古CDは本当にありがたい。

 クラシック音楽の場合は様子が少し異なる。全集や全曲集なる箱モノが出ていれば、簡単に全てを揃えることができてしまう。輸入盤など、結構手ごろな値段で入手できるからウレシイ。ファン・オールトのフォルテピアノによるモーツァルトピアノソナタ全曲集(14枚組)は休日に朝から晩までかけっぱなしの定番。イェド・ヴェンツのトラヴェルソによるロカテッリのフルートソナタ全集(3枚組)も気に入っている。J.Ph.ラモーのオペラのCDを機会ある度に買い求めているが、入手できたのは1/3程。まだまだ先は長い。クラシックは同じ曲を何人もの演奏家が録音しているので、同じ曲のCDが何枚も集まってしまうこともある。J.S.バッハブランデンブルク協奏曲は3セット、大好きなA.コレルリの作品5の室内ソナタ(5〜12)は5枚あった。その日の気分で「今日はこの人の演奏でいってみよう!」という感じで楽しんでいる。一方で、コンサートで聴いたあの曲をもう一度聴きたいと思っても、録音されていなかったりもする。そうするとひたすら誰かが録音してくれるのを待つしかない。

 コレクションとして集めているのではないし、音楽は生が基本で録音は別モノ、というのが持論なのだが、ついつい集めてしまったCD達。大方は地元に置いてきたので、最近はWalkmanをスピーカにつないで聴いている。本当はジャケットを見ながら、1枚1枚ゆっくりと聴きたいのだけれど。