桂春蝶 徳徳亭

 この前の月曜、仕事帰りに桂春蝶の落語を聴きに行ってきた。場所は千日前のビルの三階にある徳徳亭。午後7時半開演は有難い。いつものパターンで近くのたこ焼き屋で軽く腹ごしらえして 会場に入ると、畳敷きの座布団席と椅子席があった。ほぼ満席なのだが、座布団席の真ん中辺りに陣取ることができた。お客さんは若い女性が多いが、自分のようなオッサン一人客も何人かいたのでホッとした。

前座で登場したのは柳家初花という東京から来た若手の噺家さん。初花と書いて「しょっぱな」と読むののだそうだ。枕は姫路城に行って残念だった話、そして『寿限無』。子供の真似がなかなか良い感じ。続いて春蝶さんが登場して『七度狐』。尼さんが艶っぽすぎるのは、その正体を匂わせてのことなのだろう。続いての対談コーナー、テレビで御馴染みの桂ざこば師匠の登場に会場が沸く。二人のやりとりに会場もリラックスするが、春蝶さんの生誕の秘密にまつわる話はご本人もドキドキしていた様子だ。ざこば師匠による『肝つぶし』。対談では「えーかげんなオッサン」だった師匠が迫真の演技。言葉の力を感じた。そして最後は春蝶さんによる『紙入れ』。ウブな新吉を弄ぶ年上の人妻が色っぽくて艶っぽくて・・・、この人本当に女の人の真似が上手いと思った。

 去年の夏、山本能楽堂『初心者のための上方伝統芸能ナイト』を観に行った時、司会をしていたのが春蝶さんだった。軽妙なトークで会場を盛り上げ、いざ自分の出番では『立ち消え線香』をしっとりと語ってくれた。その日もらったチラシで、毎月最終月曜に徳徳亭で連続公演をしていることを知り、一度聴きに行きたいと思っていたのだ。この日は24回連続公演の最終回だったそうだが、自分にとっても大阪暮らしの最後を飾った上方落語。楽しい想い出を胸に新大阪のホテルに向かった。