ナンバープレース


 「これ面白いよ」勤め先の先輩が教えてくれたのは4−5年前のことだったと思う。3×3のマス目が3×3。その中にいくつか書かれた数字を手がかりに空いたマス目を埋めていくパズル。数独ともいう。試しに1つ2つやらせてもらったら見事にはまってしまった。以来、機会があるたびにチャレンジし、ウンウン唸りながら数字とにらめっこを繰り返してきた。

 鉛筆1本あればどこでもできる手軽さ、全てのマス目が埋まった時の整然とした美しさ、そこそこ難しい問題が解けた時の達成感。そして、一つひとつのマスを確実に埋めていけば、必ず正解にたどり着けるというう確かさ。不確実で明日も見えない現代において、この確かさは心強い。

 日経新聞の土曜版にはこのナンバープレースが1問載っている。目安の時間が書かれていて「解くのに15分超:初心者、15分以内:中級者、8分以内:上級者」などとランク付けされている。ストップウオッチを用意して、上級者タイムの半分を目指すのが週に一度のお楽しみだ。書店ではこのナンバープレースだけを集めた新書版の本が売られている。「超難問」「激辛」などのタイトルを見ると心が躍る。しかしこれを買ってしまうといけない。1問解くとまた1問、それを解いたらまた1問。次から次へとやめられなくなってしまう。2時間3時間は当たり前。目がチカチカしてきて、肩はゴリゴリになっていてもやめられない。他の事に手がつかず、空いた時間は全て数字とにらめっこ、ということになってしまう。

 頭の体操になるかもしれないが、やりすぎてしまうので目や体には良くなかろう。そして何といっても時間がもったいない。一冊終えるともうやらないと思うのだが、しばらくするとまたやりたくなる。書店や駅の売店で見かけると、いけないいけないと思いつつも買ってしまう。やめたくてもやめられない・・・困ったパズルだ。