小松こんぶ


 連休に入る前に仕込んでおいたお楽しみ、それは『小松こんぶ』。昨年の秋にその名を知り、一度食べてみたいと思っていた。大きなイベントの無い今年のゴールデンウィークの小さな贅沢だ。

 桐の小箱に真田紐、小松こんぶのパッケージはまるで茶道具のよう。右近色の綿布に包まれた小瓶の中、松葉のように細く刻まれた小松こんぶが見えた。待ちに待った小松こんぶとのご対面だ。はやる気持ちを抑えつつ、数本とって口に含むと昆布の香りが口中に広がる。じっくり炊かれているのだろう。噛むうちに溶けて無くなり、濃厚かつ上品な味わいが後に残った。ため息が出る。

 用意しておいた炊きたてご飯と一緒にいただくと、これがまた最高。甘めの味付けとほのかな山椒の香りでご飯がおいしいおいしい。思うにアツアツご飯の水分に昆布エキスが溶け出して、口の中で上等な昆布ダシをとっているような状態なのではないだろうか。お代わりを続けるうち、明日の朝の分と合わせて炊いた二合のご飯を全部食べてしまった。いけない、連休が終わるころには数kg太っていそうだ。

 それにしても、これさえあれば他に何も要らない・・・そんな気持ちにさせる食べ物だ。辛目の冷酒にもよく合いそうだ。こういう出会いがあると日本に生まれて本当にヨカッタと思える。紹介して下さったInnigさんに心より感謝。