クイックプレス

 単身赴任の週末には大切な仕事がある。一週間分の仕事の疲れを癒し英気を養う、それも大切だがそれ以上に怠れないのが洗濯だ。一週間分のワイシャツや肌着、ハンカチやタオルなどがランドリーバスケット一杯にあふれている。シーツや枕カバー、バスマットも洗いたい。これらと格闘し、やっつけないことには翌週とっても困ったことになるのは火を見るより明らかだ。

 全自動洗濯機は頼もしい。洗濯物を放り込むと必要な水の量を計測してくれるので、それに合った量の洗剤を投入すればよい。スイッチを入れて洗い上がりを教えてくれるピーッピーッというサインを待つだけ。あとはベランダに干して夕方まで待つ。天気が悪ければウチの洗濯機は乾燥だってできるから心強い。ここまでは簡単だ。

 取り込んだワイシャツやハンカチにアイロンをかけるのは少々骨が折れる。一週間分5枚だと30分位はかかろうか。手先は器用な方だし、しわくちゃな布がピシッとまっすぐになっていくのは気持ちよいけれど、やはり少々面倒だ。

 もっと面倒なのは洗濯物をたたむ作業。アイロンは時間をかけて丁寧に作業すればナントカなるのだけれど、衣類をたたむというのは難しい。ブティックでアルバイトを始めた女子高生はきっと最初に叩き込まれるのだろうが、生憎ブティックでのアルバイト経験はない。自己流でたたみ、なんとも情け無い仕上がりに閉口していた。そんな時、ふと思い出したのが以前テレビで見たあの商品。「暮らしの便利グッズ」的なコーナーで紹介されていた、衣類をたたむための道具。早速東急ハンズに行き買い求めた。

 大作商事株式会社の『クイックプレス』というのが商品名。青いプラスチックの板が6枚つながっただけの単純なモノなのだけれど、これがスグレ物。広げた6枚の板の上にシャツをうつ伏せに置き、板からはみ出た部分を内側へ折り曲げる。そして左、右、下の順にパタンパタンと羽をたたむと、あら不思議、いとも簡単にたためてしまう。簡単さもスゴイが、サイズや形の異なる衣類がすべて同じサイズにたためるというのがこれまたスゴイ。積み重ねたシャツを前に思わずウットリしてしまう。

 それにしてもよく考えたものだと感心する。デジタルでエレクトロニクスでハイテクな現代、こういうアナログでローテクな発明が結構光って見えたりする。全自動洗濯乾燥機と『クイックプレス』は単身赴任の頼りになる相棒だ。


洋服たたみボード クイックプレス

洋服たたみボード クイックプレス