『ワイルドバンチ』


 国家がまだ若く、良く言えば自由、悪く言えば信じられないくらい無法だった時代のアメリカ大陸。パイク(ウィリアム・ホールデン)は賞金首のおたずねね者。賞金総額4500ドルの強盗団ワイルドバンチのリーダーだ。そんなパイクを追いかける賞金稼ぎ達は強盗以上のならず者ばかり。そしてパイクらの力を利用しようとするメキシコのマパッチ将軍・・・。それぞれの事情と思惑を抱えながら絡み合う。ならず者たちの太く短く悲しい人生の輝きをサム・ペキンパー監督が描いた。

 アメリカ版の任侠映画だ。思わず引き込まれ、クライマックスの銃撃戦までグイグイ引っ張られた。さすがバイオレンス映画の金字塔として名高い作品だけある。しかし冷静に考えてみるとこの人達、法を破り殺し合い、無関係の人の命もまきぞいにし、行く先々の皆さんに迷惑をかけまくる。どう考えても間違っているのだけど、ついつい惹かれてしまう。敵に負けない強さも魅力だが、それ以上に自分の心に真っ直ぐに生きている姿に感動する。「ほどほど」や「そこそこ」とは対極にある生き方。まるで子供のようにまっすぐで一心な生き方に憧れてしまうのだ。


ディレクターズカット ワイルドバンチ スペシャル・エディション [DVD]

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