雨の日はキャンプ

 雨の日がキライなわけじゃないが、好きでもない。傘をさすのは面倒だけれど、雨が全く降らなければ干ばつだ。日本は温帯、モンスーン気候だから当然雨は降る、そう考えてきた。今週のお題は雨の日の過ごし方。飛びっきり素敵な雨の日の思い出があるから、それを書いてみようと思う。

 最近遠ざかっているが、以前よくキャンプに行った。所謂ファミリーキャンプってやつだ。毎年お盆休みの一週間をキャンプ場で過ごした。「一週間キャンプ!!」子供大喜び。一週間過ごせば当然雨の日もある。

 朝、目が覚めた瞬間にテントを叩く音でわかる「あ、雨だ」。当然その日は外で遊んだりはできない。アウトドアなのにインドアという、一風変わった一日が始まる。まず朝のトイレに行くのに傘をささなければならない。テントからタープへのほんの1m移動するのにも傘をさす。炊事場に行ったり、目の前に駐めた車から何かを取り出したり、ごくごく日常的なアレコレをするのに傘をさすのだ。

 予定していた山登りや魚釣りは当然キャンセル。食事の後は用意してきた本を読んだり、タープの下から見える風景をぼんやり見て過ごす。それに飽きたらクロスワードパズルをやったり、トランプで大富豪をやったりする。していることは何てことのない、普通の雨の休日とおなじなのだけれど、雨音がすぐそばで聞こえ、足元に水が跳ねる。雨の匂いがして、風向きが変わるのが感じられる。ゆっくりと静かに時間が流れ、これ以上ないくらいリアルに、全身で五感で自然を感じられた。昼食の後はテントで昼寝。おやつを食べて読みかけの本の続きを読む。

 タープをたたく雨音がだんだん小さくなり、やがて雨がやむ。雲の間から夕日が差して、周りが明るくなっていく。鮮やかな緑が目に飛び込んできて、虫の鳴き声が聞こえる。足元の水たまりが光っている。明日はきっと晴れるぞ!!と思う。忘れられない、雨の日の思い出だ。