『奥様女中』

ペルゴレージの『奥様女中』を聴いた。去年の春購入した「ドイツ・ハルモニア・ムンディ50周年記念BOX(50枚組)」を順番に1枚ずつゆっくり楽しんでいるのだけれど、その中の一枚がこれ。演奏はコレギウム・アウレウム、1969年の録音だ。

 1733年初演のオペラ・ブッファ、約50分の短い幕間劇。イタリア語は全く分からないが、年老いた主人が賢いメイドに手玉にとられ、彼女との結婚を承諾するという非常に分かりやすいストーリが何となく伝わってくる。賢いメイド、セルピナのイメージぴったりのチャーミングな旋律が印象的だ。

 ナポリで活躍したペルゴレージは1710年生まれ。J.S.バッハの長男フリーデマンと同年。バッハやテレマン、ラモー、ヘンデルといった巨匠達の一つ後の世代。バロックから古典派への橋渡しをした、ギャラント、ロココ、前古典派といわれる時代を彩った音楽家達。基本的にこの世代の音楽が好きだ。

音楽を考える際、「時代」も大切だけれど「世代」も肝心だ。『奥様女中』が初演された1733年、テレマンは『ターフェルムジーク』を世に出した。ドイツとイタリアという地理的差異ももちろんあろうが、世代の違いを感じる。ストロングな親父世代の音楽とは全然違う、別物だ。1733年、ペルゴレージ23歳。若い世代は彼を支持し、年寄りは眉をひそめて「やっぱヴィヴァルディがよいのぉ」とか言ってたのだろうか・・・・。