初めてのCTスキャン


 朝6時10分頃のこと。通勤途中の乗り換え駅、階段を登る途中の踊り場で転倒した。それほど勢いがついていたわけでもなく、上手く受身も取れたと思ったのだが、踊り場の先に続く階段に額をぶつけてしまった。「あっ、ヤバイかも・・・」ポタ、ポタと階段に落ちる赤い点が次第に大きくなっていく。「大丈夫ですか?」通りがかりの人が駅員さんを呼んでくれ、駅員さんが救急車を読んでくれた。

 病院に到着するとお医者さんや看護士さんが大勢で出迎えてくれた。おそらく二十名近くいたんじゃなかろうか。患部を診てもらうと、かなり長く切れているので縫う必要があると言われ、念のためレントゲンとCTスキャンを撮りますとも言われた。レントゲンは健康診断や歯科医で数え切れぬほど経験しているがCTは初めて。出血も痛みも治まっていたので心にいくらか余裕があったのか、少し楽しみな気持ちになった。

 レントゲンの後、若い綺麗な女医さんに案内されて別室へ向かう。部屋に入ると、TVなどで見覚えのある、あの丸い穴のあいた機械がドンと横たわっていた。「おぉ、CTスキャンだ!」初めての体験に痛みもどこへやら。興味深々、ワクワクしながら横になる。寝台がゆっくりと動いてあの丸い穴に頭が入って行き、所定の位置で動きが止まった。一時の静寂の後、丸い穴の内側を何かが回り始める。シュンシュン軽い音を立てて回っているのはX線を出す部分と受ける部分なのだろう。程なく寝台がゆっくりと足の方へ動いていき、頭だけの撮影はあっという間に終了。何だかあっけなく、少々物足りない気持ちだ(笑)。部屋から外に出ると、すぐに異常なしとの診断が下った。こちらもあっけなかったけれど、やはりホッとする。別室へ案内され、歯科医院にあるような椅子に座り、爽やかなイイ男の先生に傷を縫合してもらう。麻酔をチクチク、そして全部で7針。薬をもらってお勘定を済ませ勤め先へ向かった。

 約1時間の遅刻で出勤し、終日皆の話題の中心となった一日は何だかとっても長かった。写真は帰りに購入したガーゼとテープ。駅員の皆さん、サイレンを鳴らしながら走る救急車に道を譲ってくれた皆さん、そして夜勤明け間近で恐らくお疲れMAXだったであろう病院の皆さんに感謝!