出雲大社


 二ヶ月ぶりに鳥取県米子市に弟を訪ねた。去年から療養中の弟、最近は体調も良いようなので、思い切ってドライブに連れ出した。目指すは島根県出雲市出雲大社。前から一度行きたいと思っていたのだ。片道およそ2時間の道のり、米子駅前で借りたレンタカーのハンドルを握るのは自分。久しぶりの運転だ。

 この日は快晴、西へ向かう国道9号線の右手には中海、宍道湖と気持ちの良い風景が続く。コンビニで仕入れたお菓子はいかみりん。懐かしい味にとりとめもない会話が弾む。途中で忘れ物に気付いて戻ったりもしたけれど、午後1時過ぎに到着。駐車場はほぼ満車状態。天気の良い休日、訪れる人も多いようだ。

 駐車場からショートカットで境内に入れるのだが、「やっぱり正面の鳥居から入りたいよね」と弟からの提案。こういう事って大切にしたいと思う。ぐるりと正門へと回る。出雲市の北西の山際に位置する出雲大社、正面の鳥居からは市街を遠く見下ろせる。この街に住む人は皆、毎日神様の住むお社を見上げながら暮しているのだろう。鳥居をくぐり境内へ。松並木の続く道を歩くと小春日和の陽射しが温かい。大国主命を祭る本殿は現在改修中(写真右手奥の白い屋根)。平成20年4月に本殿手前にある御仮殿に平成の大遷宮が行われ、改修が終わるのは平成25年5月、総事業費80億円の大改修なのだという。仮殿にて参拝。お賽銭を投げ、弟の回復を祈願する。ふと気付くと隣で弟は柏手を4つ打っている。反対側で参拝しているおじさんも柏手を4つ。「???」後から弟に尋ねると出雲大社の流儀は二拝四柏手一拝なのだそうだ。知らなかった・・・・。大黒様、どうか大目に見てやって下さい。

 因幡の白兎の神話で有名な大国主命を祭り、旧暦10月の神在月には日本中の神様が集まる出雲大社。さぞかし荘厳で格調高いのであろうと予想していたのだが、意外な事に開放的で堅苦しさを感じなかった。優しく包み込んでくれるような大黒様の雰囲気そのまま、温かな小春日和のせいかもしれない。


 隣接する島根県立古代出雲歴史博物館を見学。平成19年開館の新しい博物館、エントランスで待ち受けていたのは3本の木を束ねた「宇豆柱(うずばしら)」。平成12年に発掘された直径3mの巨大な柱で、鎌倉時代のものだという。館内には東大寺大仏殿よりも大きく日本一の高さを誇っていたといわれる古代出雲大社の復元模型が展示してあった。天高くそびえるとはこういうことを言うのだろう。

 お互いの感想を交換しながらの帰り道、遅めのランチはマクドナルドのドライブスルー。米子に帰り着くと中海に沈む夕日が最高に綺麗だった。冬の初めの一日、縁結びの神様が兄弟の縁も深めてくれたのならこんなに嬉しいことはない。付き合ってくれた弟に感謝。