決勝戦


 調子に乗ってまた甲子園球場に行ってしまった。3日前に準々決勝戦を観戦した、青森の光星学院が見事勝ち進んだ。縁もゆかりもないにわかファンが応援に駆けつけても罰はあたるまい。相手は西東京代表の日大三高。日本中が注目する一大イベントにこんな軽い気持ちで参加できるのは、関西在住ならではの特権。しかも外野席は無料ときてる。ありがたい。

 ライト側外野席、3日前とほぼ対照の位置に陣取り試合開始を迎えた。さすがは決勝戦、空席はほとんどなく、立ち見の人もいる。自分は2時間以上前に到着していたので通路側の席を確保しており、すでに生ビール2杯目だ。曇り空に薄日が射す程度、時折吹く風が心地よい。

 高校野球プロ野球と比べて、試合の進むのが早い。3回裏、光星のエース秋田君がつかまって3失点。あちゃー・・・。仕方がないのでビールのお代わりを求める。スタンドでは大きなタンクを背負ったお嬢さんが沢山いて、良く冷えた生ビールを売ってくれる。さぞかし重いのだろうが、皆笑顔で対応してくれる。「どちらの応援ですか?」一声かけてくれるのも嬉しかったりする。それにしても、生ビールタンクを背負っているのは全員女の子だ。やはり球場で生ビールを買うのは圧倒的におっさん連中だからなのだろう。おっさんの一員として、その戦略にまんまとはまってみる。

 日大三高はその後も追加点を加え、光星のエース秋田君は7回で降板。結局11対0で日大三高が勝利し、全国4,014校の頂点に立った。10年ぶり二度目の優勝だ。閉会式、光星ナインよく頑張ったと拍手を送る。蛍の光が流れる中、スタンドを降りたが、夏のお昼に聴く蛍の光は少々不思議な感じだ。例年だったら日が西に傾いた夕方なのだろうが、今年は節電で試合開始を早めたため。仕方がなかろう。そういえばバックネット裏には「がんばろう!日本」の横断幕が張られていたし、球場内のあちこちで震災義援金の募金が行われていた。今年はそういう年なのだと改めて実感。球児達の真剣なプレーが日本に元気を与えたことと信じたい。

 人ごみにもまれながら駅へと向かうと駅前の居酒屋がちゃっかり営業していて「電車混んでますから、一休みしていきませんかぁ〜」と客引きしていた。こちらも例年なら夕方の丁度良い時間なのだろう。引力を感じながらも阪神電車に乗り込んだ。にわか甲子園ファンの夏が終わった。