そうめん


 梅雨が明けた。日本の四季に数えてもらえない5つめの季節、梅雨。そのエンディングはなぜか「明ける」と表現される。春も夏も秋も冬も「明ける」とは言わない。でも、ジメジメムシムシした曇り空と雨降りが続く日々から、真っ青な夏空とまぶしい太陽が見えるとやっぱり梅雨が「明けた!」と言いたくなる。

 さて、夏のヨロコビの一つにそうめんの美味しさがある。真夏の休日、昼食の定番。どんなに食欲が無くてもそうめんなら一口、もう一口と入っていく。生命を維持し活動を続けるエネルギーを接種する事が「食」であるのなら、夏のお昼のそうめんには「食」を越える悦楽がある。氷水に透き通るような麺の白さがまぶしい。つゆにチョンと浸し、一口すすった瞬間に広がる冷たさとダシの香り。コシコシした歯ごたえを楽しみ、ツルリとしたのど越しが涼感を増す。暑さでグダグダになっている自分に喝が入り「さぁ、午後もガンバロウ」という気持ちになる。

 そうめんのおいしい食べかたについて考えてみた。麺はゆですぎず少し硬めが良い。よーく洗ってぬめりを取る。そうしないと器の水が濁ってしまうから。そして氷水で徹底的によく冷やす。0℃に限りなく近づけたいところだ。涼しげなガラスの器に氷をタップリ、注ぐ水は当然冷水。箸は割り箸でない方がよいな。そうめんの冷たく硬質な感触が割り箸のぬくもりで減ってしまうから。具材をあれこれデラックスに盛られて「お前は冷やし中華か!」と言いたくなるようなのはあまりうれしくない。薬味の葱と生姜があれば十分。つゆをカンカンに冷やしておくことは言うまでもない。

 今日は家族が皆出かけて、一人ランチ。梅雨明け、夏の到来を祝ってそうめんを作った。さあ、この夏は一体、どれだけそうめんを食べるのだろうか??楽しみ楽しみ。