『地上より永遠に』


 1953年のアメリカ映画。舞台は1941年のハワイ、スコーフィールド陸軍基地。転属してきたばかりのブルウィット上等兵モンゴメリー・クリフト)は上官から執拗ないじめにあう。回りの勧誘にもかかわらずボクシングの大会に出ることを固辞しているからだ。「信念を曲げたらそれは男じゃない」彼は頑なだ。そんな彼を支えるのは上官のワーデン軍曹(バート・ランカスター)、友人マジオ(フランク・シナトラ)、そして酒場の女ロリーン(ドナ・リード)。

 ワーデン軍曹は上官の夫人カレン(デボラ・カー)と不倫の関係。マジオは問題を起こし営倉(懲罰房)入りとなる。ロリーンとの仲は順調だったが、軍人の妻になる気は無いとハッキリ言われてしまう。そんなある日、マジオが営倉から逃げ出してきた。彼は営倉内でのいじめが原因で死んでしまう。ブルウィットは彼を死に至らしめた男を待ち伏せる・・・・。


 「男の信念」と「軍隊の不条理」、そして「ラブロマンス」。結構盛りだくさんな映画だ。「男の信念」は前述の通り。ブルウィットは不器用な男だが好感がもてる。「軍隊の不条理」については、4年後の1957年に公開されたキューブリック監督の『突撃』を観たばかりなので、それと比べるとチョット見劣りしてしまう。殺されたマジオへの暴行がほのめかすにとどめられているからだろう。そして二組のカップルの「ラブロマンス」が観る者の心を打つ。中でもワーデンとカレンの海辺でのキスシーンは印象的だ。ローマの休日を押さえてこの年のアカデミー賞最優秀作品賞を受賞したのはこのあたりが良かったからかな。

DVD>地上より永遠に (<DVD>)

DVD>地上より永遠に ()