『荒鷲の要塞』

 先日読んだアリステア・マクリーンの小説『荒鷲の要塞』が非常に面白かったのでDVDを借りてきた。舞台は第二次大戦中のドイツ。イギリス軍のスミス少佐ら7人はドイツ南部、オーストリアとの国境付近にあるシュロス・アドラー(鷲の城)へと向かう。ここに捕らえられているアメリカ人、カーナビー将軍を救出するのが彼らの表向きの使命なのだ。爆撃機で運ばれたスミス少佐らは、真っ白いパラシュートで雪の積もった森の中へ降り立つ。鷲の城は断崖絶壁の上にそびえ、周囲の守りは堅い。城への道はロープウェイのゴンドラのみだ。7人いた仲間は2人減り、3人が捕らえられる。スミス少佐とアメリカ人のシェイファー中尉の二人は果敢に鷲の城への潜入を図る・・・・。

 百戦錬磨の諜報部員、スミス少佐を演じたのはリチャード・バートン。判断力と行動力とを兼ね備えたリーダーを渋く好演している。実は小説を読んだ時は、もう少し若くて格好の良い印象だったので「おやおや」と思ってしまった。相棒のシェイファー中尉は当時40歳前のクリント・イーストウッド。隙の無い精悍な横顔、素早い身のこなし、迫り来るドイツ兵を次々と倒していく。なるほど、二枚目はこちらに任せたのだと納得。


 カーナビー将軍を救出するのは表向きの使命と書いたが、裏の使命は映画中ほどで明らかになる。敵を欺くにはまず味方から。シェイファー中尉が事態を飲み込み、とっさの判断で攻勢に出るあたりは息をのむほど格好良い。

 小説を読んでから観たのだが「話が違う!」とがっかりする事はなかった。後から知ったが、実は映画の脚本の方が小説より先に書かれていたのだ。映画の場面場面が、小説を読んで思い描いたイメージとピッタリで、違和感が少なかったのもこのためだろう。1968年の作品なので、アクション映画としては古さを否めない。ハラハラ、ドキドキ感は小説の方が上だが、リチャード・バートンの渋さとクリント・イーストウッドの格好良さは二重丸だ。

荒鷲の要塞 [DVD]

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