『ヴェローナの二紳士』

 イタリア北部の街ヴェローナ生まれの若い紳士、ヴァレンタインとプローテュースの二人は幼なじみの親友だ。ヴァレンタインは見聞を広めるため、ミラノ大公の宮廷へ旅立とうとしている。一方のプローテュースはジュリアという娘に恋をしていてメロメロ状態。物思いにふけり学業も手につかないありさま。ヴァレンタインは友の姿に呆れながらヴェローナを後にする。ミラノ大公にはシルヴィアという美しい娘がいた。大公は娘の結婚相手にシューリオという男を推しているのだがシルヴィアは乗り気でない。ヴァレンタインは故郷のヴェローナで親友のプローテュースの恋わずらいに呆れ果てていたのだが、この美しいシルヴィアにゾッコンになってしまう。シルヴィアもヴァレンタインには好意を示すのだが、大公はヴァレンタインに娘とシューリオとの仲を取り持ってくれるよう頼む。奇妙な三角関係の中に、故郷ヴェローナからプローテュースがやってきて、話がややこしくなる・・・・・。

 シェイクスピアの戯曲『ヴェローナの二紳士』は惚れた腫れたの恋愛喜劇。登場する若者達は男も女も恋を煩い、苦しい胸の内を訴える。要は「シルヴィアが好きだー!」「プローテュース愛してる!!」というコトを美しい言葉で格調高く切々と延々と、これでもか!これでもか!!と繰り返す。読んでいていささか疲れる。二人の紳士はどちらとも恋にメロメロで、分別も見境も無くし、グジュグジュしている。おいおい男だろう、しっかりしろよと言いたくなってしまうのだ。一方彼らとは対照的に、お相手である二人の女性、ヴェローナのジュリアとミラノのシルヴィアは聡明で行動的だ。不満のある環境を変えるべく、果敢に行動する。

 戯曲で読むと少々辛いところがあり、巻末の解説にも厳しめの内容が書かれている。しかし女性観客の目線で観ると、行動力のあるジュリアとシルヴィアに共感し、二枚目の俳優が苦悩する姿に萌える、ステキなお芝居となるのかもしれない。

ヴェローナの二紳士 (白水Uブックス (8))
作者: ウィリアム・シェイクスピア
メーカー/出版社: 白水社
ジャンル: 和書