『スパークする思考』

 2006年に出版され大ヒットした『仮説思考』の著者による最新作。発明家や芸術家でなくても、ビジネスパーソンなら皆新しいアイディアを求められる。「誰か良い案ないか?」「これはダメだから他のアプローチを考えてくれ」などという場面だ。ビジネスの上で必要とされるクリエイティブな発想、だれもが驚くような斬新なアイディア。そういったものが火花が飛び散るようにひらめくことを本書ではスパークという。そしてそのスパークを生みやすくするためのあの手この手が書かれている。

 スパークの確率を上げるための手法として、この本ではパソコンやインターネットは基本的に使わない。情報も無理して集めたりしない。自然に集まった情報も整理せずに放っておき熟成を待つ。なんともものぐさでいい加減にも聞えるのだが、それには理由がある。スパークにとって情報は大切なのだが、情報を集めることに力点を置きすぎると、情報集め自身に夢中になり、それだけで仕事をしたつもりになる本末転倒が起こるからだ。そんなムダなことはせず、誰もが自然にできるやりかたで自分の頭の中の引き出しに少しずつネタを集めて熟成させる、そんな方法を紹介してくれる。

 著者の内田和成は「世界の有力コンサルタント25人」に選ばれたことのある、凄腕のコンサルタント任天堂とTV放送とフィットネスクラブによる異種格闘技キラーパス型人事、キャプテンの唇など、本の中に書かれているたくさんの事例やエピソードを読むだけでも面白くためになる。

スパークする思考 右脳発想の独創力 (角川oneテーマ21)
作者: 内田 和成
メーカー/出版社: 角川グループパブリッシング
ジャンル: 和書