山東省できしめんに乾杯!?


 久しぶりに中国へ行ってきた。2011年の11月以来、1年半ぶり6度目の中国だ。事前に「上海暑いですョ〜、毎日37度くらいいきますョ〜」と脅されていたので、覚悟はしていたのだが、確かに蒸し暑い。蒸し暑いだけなら地元名古屋も負けてはいないので全く気にならないが、人や車がひしめき合い、工事現場やクラクションの音が飛び交うこの雰囲気は上海ならではだ。埃っぽくてやかましくて独特の匂いが漂ってくると「う〜ん、中国に来たのだなぁ…」と実感する。

 今回、上海から山東省へ国内線で移動した。上海市の西側にある虹橋空港から、ビールで有名な青島へと飛んだのだ。初めて乗る中国の国内線、これが意外と混んでいて驚いた。機内には中央の通路をはさんで左右に3席ずつ座席が並ぶのだが、これがほぼ満席の状態。聞けば7月から中国の学校は全面的に夏休みで、青島へは海水浴目当ての観光客が大挙して押しかけるのだそうだ。確かに機内には子供連れが非常に多く賑やかだ(1時間20分のフライトの間、ずーっと泣き続けた女の子もいた)。この日利用した山東航空の運賃は往復で1,700元。家族4人なら6,800元。上海市最低賃金が月額1,620元との事なので、休暇の旅行に飛行機を利用できるのはやはりお金持ちに限られるのだろうが、上海から青島へは日に20便飛んでいる。やはり中国はすごい勢いで豊かになってきている、ということだろう。

 その夜の食事の席、実は山東省は「乾杯」のメッカらしい。白酒(パイチュウ)という蒸留酒を小ぶりのグラスでクイッとあおって一気に飲み干し、空になったグラスを相手に見せて確認し合う。これが宴席の間に幾度も繰り返されるのだ。会話が途切れた時など、誰かとふと目が合うと、グラスを手にニコッと微笑んでくる。「乾杯しようぜ」の合図だ。「受けて立とうぜ青島の夜!」と頑張っていたら、後半になって急に利いてきた…白酒。久しぶりにしこたま酔っぱらってしまった。で、写真はそんな頃に出てきた締めの麺。妙に馴染みのある平たい麺、何という麺なのかは知らないが、名古屋人の自分にはどう見てもきしめんにしか見えない。おぉ、きしめんがこんな所まで進出したか?・・・・いやいや、麺の歴史からすればこちらの方が先輩格だろう。いずれにせよ、平たい麺にはどうしてもシンパシーを感じてしまう(笑)。食べてみると、きしめんのようなツルッとした滑らかさは無いけれど、程よくコシがあって上海あたりのブツブツの麺とは随分違う。あっさりとした出汁も美味しく、すでに満腹状態だったにも関わらず、美味しくいただくことができた。

 今回の出張は2泊3日。いつもの事ながら慌しく、その土地やそこに住む人々について、理解するなんてのは不可能に近い。だからこそ「山東省できしめんそっくりの麺を食べてきたゾ」なんていう小さな経験も大切にしたいと思うわけだ。よし、今日のお昼はきしめんにしよう。醤油味で、上にたっぷりの花かつおとカマボコが乗ったヤツね。