MAGLEV


 上海で今度はリニアに乗ってきた。4月に訪問した杭州の会社に再度行かねばならなくなり、急遽中国への出張を決めた。前回は中国通の部下と一緒だったが、今回は一人。少し冒険気分だ。旅程は今回も二泊三日。前回のような弾丸ツアーではなかったが、初日から打ち合わせがあるので空港から市内までのリニアモーターカーを利用することにした。時間節約のためとは言うものの初めて乗る上海のリニア、少しワクワクする。

 上海浦東国際空港には二つのターミナルがある。第一ターミナルと第二ターミナル、その中央にリニアモーターカーの乗り場がある。英語表記でMAGLEV、何だかカッコイイ。中国語では「磁浮」ナルホド、磁力で浮くのだから「磁浮」。日本人にも分かるぞ。空港から龍陽路の間を結び途中に駅はない。料金は二等席で50元、700円位だが、同じ区間を地下鉄2号線で行くと6元。8倍以上する。窓口で料金を支払い、渡されたチケットはICチップ入りのカード、大阪PiTaPaと同じだ。空港にあるようなX線検査機に荷物を通し、ピピッと改札を通った後待つ事数分。女性スタッフがエスカレーターの前のロープを外し、ホームへと案内してくれた。

 白地に水色とオレンジのラインが入った車体は優しく親しみやすい印象。時速430kmを出すようには見えない、こういうのを羊の皮をかぶった狼と言うのだろう。車内は白の内装に青いシートで清潔な印象。お客は少なく、自分の乗った車輌には7人だけ。ちなみに座席は48あった。料金が高いから地下鉄を利用する人が圧倒的に多いのだろう。

 リニアらしい滑るような動きで発車したMAGLEV、客室前方に速度が表示されるのだが、数字がすごい勢いで増えていく。時間を計ってみたら1分後には155km/h、2分後には300km/h、3分経つ前に430km/hに達していた。それでも加速のGを感じることは殆どなく、新幹線に乗っているような感覚、少し意外だ。回りに建物の少ないエリアを走るので、スピード感があまり感じられないが、併走する道路を走る車が止まっているように見える、やはり430km/hは伊達じゃぁない。超高速でのすれ違いは迫力があった。バンッという音がして5両編成の車輌同士がすれ違うのだが、その間およそ1秒、いや1秒未満かも。あっと言う間というのはこのことだ。

 市街地に入り徐行したと思ったら、それでも90km/hだった。束の間の超高速体験は8分程でおしまい。テーマパークのアトラクションのようだった。今回もハードな出張だったのだけれど、上海MAGLEV体験は素敵な思い出だ。