プラネタリウム

 プラネタリウムに行ってきた。朝から休日出勤して一人残務を処理した後に、ふと思い立ち行ってみたのだ。

 ほの暗いドームの中、直径20メートルの半球型の空間は独特の雰囲気がある。椅子を思い切りリクライニングさせてクリーム色の天を仰ぐとワクワク感がつのる。目の前に黒くそびえる投影機に「今日も飛びっきりの星空を頼むぜ」と心ひそかにエールを送る。

 上映が始まり、夕焼け空から夜空へと変わる瞬間が好きだ。何度見ても本物の夜空を見ているような気持ちになる。実は夕焼け空を投影している間にドームごと地球の裏側に瞬間移動していて、そこでドームを開けるから本当の夜空が目の前に広がっているのだ…。子供の頃に想像した事なのだけれど、やっぱりそんな気持ちになる。そう考えたくなる理由は分かっている。夜空と比べて夕焼け空がリアルさという点で劣っているからだ。昔の特撮ヒーロー物で、空を飛ぶシーンの人形がいかにもおもちゃっぽくて悲しかった。ヒーローが着地するとリアルさがグッと増し安心するのと同じだ(どちらも作り物なのに)。

 子供の頃から何度となく通ったこのプラネタリウム。普段決して見ることのできない満天の星空に目を見張り、本当はこんなにたくせんの星があるのだと驚いた。本物の星空を見たのは大学生になってから。合宿で訪れた高原で「プラネタリウムみたいだ」と感動した。少し屈折しているけれど、都会育ちにとっては普通のことだろう。

 50分の上映時間はあっという間に過ぎ、ドームの中は夜から朝へ変わり「おはよう」という気持ちになる。ふと気がつくと終盤1/4の記憶があいまいだ。どうやら眠ってしまったようだ。ランチの時に軽くビールを飲んだのだけれど、仕事して一杯飲んで夜が来て眠る。そして今が朝ならば今日は二日分。何か得した気分だぞ。