『情報は1冊のノートにまとめなさい』


 情報管理術の本。普通の手帳やシステム手帳、PDAやパソコンなど、情報管理の方法は様々。それぞれに一長一短があるし、使う側の事情で「絶対ゆずれないコト」も様々なのだから、いろいろあって当然。ひとそれぞれってのは良い事だ。自分なりのスタイルはあるものの、それ以外も気になる。

 この本が勧めるのはコンビニで簡単に手に入るA6サイズのノートに何でもかんでも書き込む方法。いわゆる「ポケット一つ」方式、情報がどこにあるかで悩まなくてよい。おまけに100円でいつでも入手できるという手軽さはとても心強い。これだけだと単に安上がりな方法なのだけれども、これにパソコンを使った検索を絡めるところが新しい。そのための著者なりの合理的な方法が詳しく紹介されている。なるほど、これなら誰にでも始められるし、楽しそうだ。蓄積された情報を検索するだけでなく、それを活かす方法にまで言及しているのは著者のサービス精神の現れだろう。ビジネスとプライベートを分けない手法にも共感できるし、簡潔で優しい語り口にも好感が持てる。

 それじゃぁ明日コンビニにA6ノートを買いに行くかと言うと、行かない。なぜかというと、自分がPalm使いだから。以前このブログにも書いたけれど、10年以上前からPalm OSPDA、電子手帳を使っている。携帯性、検索性、そしてパソコンと違って瞬時に立ち上がるから、スピードでも紙の手帳に引けをとらない。手のひらに乗る小さなマシンの中に、仕事のこと、個人のこと、趣味のことも家族のことも全部入っている。だからこの本で著者が実現したかった事の7割くらいは実現できていると思う。

 ではあとの3割は何かというと、A6ノートには写真やらレシートやら映画の半券やらをペタペタ貼り付けることができる。これはPDAには絶対無理だ。そして何より著者の奥野氏はデジタルデータは何かの拍子に完全に消えるぞと警告する。電気が使えなくなると同時に完全に機能停止するのだ。完全なる欠点だ。これに対する自分の答えは「その時はあきらめる」。もう腹をくくるしかなかろう。しかし、大災害か戦争何かで電気が未来永劫使えなくなるという可能性もゼロではないが、自分の老眼が進む可能性は100%、PDAの小さな文字が読めなくなる日は遠くない!?こっちの方が大問題なのだ。

情報は1冊のノートにまとめなさい 100円でつくる万能「情報整理ノート」 (Nanaブックス)
作者: 奥野宣之
出版社/メーカー: ナナ・コーポレート・コミュニケーション
発売日: 2008/03/12
メディア: 単行本(ソフトカバー)