『ハンコック』


『ハンコック』
 子供の頃考えた。ウルトラマンが戦った後の街って、誰が修理するんだろう?ウルトラマンに踏まれて死んじゃった人っていないのかな?それと比べて、等身大のヒーローである仮面ライダーは人に迷惑をかけないから罪が無い。そう思っていたのだけれど、いやいや等身大のヒーローだって、気をつけないとえらいことになるのだ。

 08年夏公開の映画『ハンコック』を見た。ウィル・スミスが演じるハンコックは空を飛び、弾丸を弾き、悪者を懲らしめるスーパーヒーローなのだが、市民からは嫌われている。なぜならやりすぎるから。街を壊し車を壊し、人々に悪態をつくのでマスコミは彼を糾弾、子供からもカス呼ばわりされる。そんなハンコックに命を救われたレイは、彼を皆から好かれるスーパーヒーローへとプロデュースする。 レイのアイディアににハンコックは努力で応え、見事人々の賞賛を勝ち得るのだが、それだけで終わらないのが大ヒット作。ハンコックがスーパーヒーローである理由が明らかになる。そして彼は孤独な存在ではなかったのだった・・・・。

 実際大変だろうと思う、強すぎるのだから。常に周りに気を配っていないと他人に迷惑をかけてしまう。皆と同じでない、お互い「普通○○だろう」というのが通用しない。強すぎるマイノリティー、それはそれで悲劇だ。

 マイノリティーと言えば、この映画の舞台アメリカは多民族国家、様々な境遇の人々、様々なマイノリティーがともに暮らす国だ。日本と違い「普通○○だろう」なんて事は初めから念頭にないのだろう。だからそこに暮らす者同士のルールが重視される。TVキャスターは番組の中でハンコックを自己中心的、他人に対する敬意ゼロとボロクソに避難するが、最後には「法律を無視する事は許されません」と語りかけ「合衆国憲法はあなたより強い」と締めくくる。ルールの前には皆平等なのだ。そしてそのルールを守ることを決めたハンコックの活躍に対しては賞賛を惜しまない。なるほどこのあたり、アメリカのとても良い一面が表れていると思う。

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