『ニュー・シネマ・パラダイス』
- 出版社/メーカー: 角川映画
- 発売日: 2009/06/19
- メディア: DVD
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親子ほど年の離れた映画技師のアルフレードと主人公トト。この二人は師匠と弟子であり親友、そして命の恩人。成人し成功したトトの回想がこの映画の2/3を占める。なるほど、泣ける映画だ。ラストシーンなんか特に。男と男の約束だ。
もし自分がアルフレードの立場だったら・・・と想像してみた。どうやら自分よりずっと頭の回転が早そうな子供が自分の職場にやって来る。とても可愛らしい顔つきで、憎たらしいことを言う。教えもしない自分の仕事を見よう見まねでやってしまう。そしてそんな彼と一生の友情を築く・・・。環境面では、残念ながら今の自分の職場では完璧にあり得ないことだ。近所の子供が自分の職場にやってきて、仕事関連のモノを見つけて「これちょうだい」なんて言うことは100%あり得ない。その子に仕事を教えることも絶対に無かろう。第一、都会のオフィス街には子供が殆どいない。いるのは大人ばかりだ。きっと日本中の多くの職場においてもそうだろう。大人と子供がガッコウという中間ゾーンによって、見事に分断されているというのが現在の日本の状況だ。そこからは残念なことにトトもアルフレードもうまれない。
現在日本の子供はアルフレードのような身近な大人から生きるすべをダイレクトに教わることはまずない。鶏舎のブロイラーが餌を与えられるように、教師という教育のプロからだけから学ぶ。きっと効率はよいのだろうが、母親から止められてもどうしても行かずにはいられない、幼いトトが眼をキラキラさせてアルフレードの所で学ぶのと、どっちが幸せなのだろうか・・・そんな事を考えさせられた。