アゴノヒモノ

 会社の同期と二人で飲んだ。仕事の打ち合わせをみっちり2時間。そのまま居酒屋へ行き第二部、こちらはもう少しみっちり2時間半。特に珍しくもない、行きつけの店でのいつもの事なのだが、一つ幸せな発見があった。「生ビール二つと餃子と野菜炒め」「・・・・・ザーサイと、アゴノヒモノ」「・・・何それ?」「え?知らないの?」メニューを見ると『あご(とびうお)の干物 380円』とある。「へぇー飛び魚をあごっていうんだぁ」恥ずかしながら知らなかった。

 出てきたのは想像していたのよりはずっと小さな干物。頭が取ってあり煮干よりも小さいぞ。焼いていないのだろう、熱くない。煮干のようにサクサクしていなくて、噛み応えがある。噛みしめるとジワジワーっと甘みが口の中に広がっていく。「あれれ、これってすごく美味しいじゃん」何度も何度も噛みしめたくなる味だ。

 酒の肴にはいろいろある。夏は「冷奴と枝豆があれば何にもいらない!」と思うし、秋はカキフライと銀杏、冬は鍋だよね、モツ鍋最高!あとおでん。一方年中OKなのが魚介の干物系。家ではスルメ、居酒屋ではエイヒレ。あと、アジのミリン干しや秋刀魚の干物も美味しい。しかし今日から『あごの干物』が1位に急浮上。

 見た目も味も派手さのない、決して高級食材ではない380円(5匹で)なのだけれど、ナゼかしみじみ美味しく、噛みしめるうちにツボにはまってしまった。うっかり写真を撮るのを忘れた事が悔やまれるが、まぁよかろう、明日も食べに行けばよい。久しぶりに「明日も食べたい」と思う食べ物と出合った。同期に感謝!