南国土佐はサムカッタ


 この前の金曜日、出張で高知県へ行ってきた。四国にはほぼ毎月足を運んでいるが、高知県には行ったことがなかった。前日夕方まで大阪で仕事した後電車で移動し、高知で前泊するというスケジュール。大阪で訪問した会社の社長さんが教えてくれた。「今から高知行かはるの?四国雪降ってますョ」「・・・・!」。観光ではないので、寒かろうが暑かろうが関係ないのだが、「南国土佐」のイメージが作り上げた暖かくて快適な出張の妄想はみごとに崩れ去った。

 大阪からのぞみ号と特急南風号を乗り継ぎおよそ3時間半の旅。ロング缶4本を胃袋に流し込み、高知駅に到着したのは午後10時前。初めて訪れたJR高知駅は新しくてとても立派。ホームを覆うカマボコ型の天井が何ともイイ雰囲気を醸し出していた。しかし外にでると予想を上回る寒さ。雪こそ降っていなかったが泣きそうになる。Beerの酔いは一気に吹き飛び、朝貼ったカイロがまだ暖いのが何だか健気でウレシかった。

 チェックインの後、居酒屋に転がり込み、焼酎のお湯割りで凍えた体を解凍する。お約束のカツオのたたきが生憎売り切れだったため、「土佐風じゃこ天」なるものをお願いする。こんがりキツネ色に揚がった高知のじゃこ天は、丸型でふっくらと分厚い。おろし醤油を添えていただくと、魚の香りがふんわりして歯ごたえも味もやさしい。愛媛のじゃこ天が薄くて高密度で、ワシワシした歯ごたえが魅力なのとは随分違う。同じ四国でも伊予の国と土佐の国とではやっぱりいろいろ違うのだと一人納得した。TVではソチ五輪、女子モーグルの予選。もっともっと違いのある国々の代表を相手に戦う乙女たち。頑張れニッポン!

 翌日の午後、帰りのバスを待つ間、小雨降る高知駅前をぶらぶら。JR高知駅は駅舎も立派だが駅前もとても綺麗に整備されている。駅前広場には高知の三志士こと坂本竜馬中岡慎太郎武市半平太の大きな立像がある。高さ8mの立派な像だ。しかしこの日立っていたのは2人だけ。中央に位置する坂本竜馬像が横浜、神戸のイベントに貸出中らしい。竜馬像の場所、「竜馬ただいま脱藩中」の看板にニヤリとする。こういう洒落っ気ってイイと思う。いつか観光でゆっくり来てみたいなぁ…などと思いながら、南国土佐を後にした。