肉団子


 めったに食べないのだけれど、ある日突然ムラムラと食べたくなるものの一つに中華風の肉団子がある。ミートボールやつくねも嫌いじゃないのだが、中華風肉団子は別格だ。こんがりカラッと揚がった表面の歯ざわりと、中のジューシーなお肉の味わい、そして全体を覆うトロリとした甘酢あん。外側から順に軟、硬、軟。このコンビネーションがたまらない。よし、作ってみるか。思い立ったが吉日、近所のスーパーに材料の買出しに出た。

 豚ミンチとみじん切りにしたネギ、片栗粉と卵1個をよく混ぜ、ごま油と水と塩少々。これを油で揚げる。全体がこんがりと茶色になったらできあがり。皿に盛りつけ、甘酢あんをかけ、白髪葱を飾る。意外とうまそうにできた。

 こんがり香ばしい香りが食欲を誘う。ガブリと頬張ると熱くて口の中を火傷してしまった。慌てて冷たいBeerを流し込む。二つ三つと食べてみて解ったのだが、少々揚げすぎたようだ。歯ごたえがありすぎ、中もジューシーとは言い難い。気がつけば白髪葱も剛毛だ。まぁ、初の自作肉団子にしては上出来だろうと納得することにした。誰かに食べさせようと思って作って「固いよね」とか言われようものなら、猛烈に腹がたつのだろうけれど。そう言えば、この小さなキッチンで揚げ物を作ったのも初めてだ。後片付けのことを考えないようにして、しばし固めの肉団子と冷えたBeerの一時を楽しんだ。